防腐効果を高める木材保存剤
木板の防腐効果を確実に高めるのが木材保存剤と呼ばれる薬剤の注入だ。薬剤には木材腐朽菌を殺す成分とシロアリを殺す成分が含まれている。薬剤を水などの液体に溶かし、釜のなかで圧力を掛けて木材の芯まで浸み込ませる加圧注入が一般に用いられる。木板は薄いため材の中心まで薬剤を染み込ませることができる。その点で木材保護塗料と比べて非常に有利だ。薬剤の種類や含浸量にもよるが、外壁板張りであれば20年以上の効果が期待できるとされる。
加圧注入に使われる木材保存剤は、銅・第四級アンモニウム化合物系(ACQ)とアゾール・第四級アンモニウム・ネオニコチノイド化合物系(AZNA)、アゾール・ネオニコチノイド化合物系(AZN)などだ。大きくは銅を含む薬剤と銅を含まない有機系の薬剤に分かれる。後者は農薬の転用だ。銅系の薬剤は注入後に薄い緑色になるのに対し、有機系の薬剤は無色に仕上がる。無塗装の場合、見た目の点から前者が選ばれることが多い。塗装をする場合はどちらでもよい。
薬剤の効き目はJASに規定されている。JASの製材には防腐・防蟻の性能区分がK-1〜K-5までの5ランクに分けられている。K-1は室内用、K-2は寒冷地用、K-3が温暖地用、K-4は腐朽や蟻害が多い環境、K‐5は電柱や枕木など特別な用途として規定されている。
上記ランクは薬剤の種類と含浸量の組み合わせで決まる。上記の3つの薬剤は量を増やせばK‐4の性能を満たせる。ただし、K‐5の性能を満たせるのはACQだけだ。土壌に杭を埋めた複数の試験結果を見ても、ACQなど銅系の薬剤のほうが防腐・防蟻の効果が高い結果が出ている。耐久性の点では銅系の薬剤の信頼性が高いようだ。
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