板と板の隙間も水が入りやすい箇所だ。木板の乾燥収縮により、嵌合部の実が外れることがよくある。その隙間から雨水が入ることで腐朽につながる。
これらの劣化は外壁の一部分のみに起こることがほとんどである。また、上記の症状が発生したり、そこから腐朽が生じる確率は、建て物の形状や配置によって異なる。
まずは雨がどのくらいかかるのかということだ。軒が出ている面や、庇がかかっている直下に張られた木板は傷みにくい。
日当たりも影響する。紫外線により、木板に含まれる油分などがなくなり、割れやすくなるためだ。傷みやすいのは南面などの日射量の多い面だ。敷地にもよるが多くの建て物は南面の日当たりを重視する。「南面は隣家との距離を確保することもあり、雨も当たりやすいことが多い。木板は湿潤状態と乾燥を繰り返すことになり、前述した欠陥を誘発しやすい」と菅沼さんは話す。
コーナー部(出隅)も比較的傷みやすい。さまざまな方角からの風が当たるためだ。当然、雨も巻き込みやすくなり、漏水のリスクも高くなる。
同様に建て物下部も雨の跳ね返りや地面の湿気の影響を受ける。木板の下端が地面に近いほど影響を受けやすい。また建て物下部は上部に張られたスギ板の表面を伝って雨が流れてくるので、滞留する要素が生じていると腐朽につながりやすい。
腐朽とは別に木板の表面が徐々に削られる減少も起こる。スギなどの針葉樹の場合、時間が経つにつれ軟らかい夏目が削られ、硬い冬目が残り、うづくり仕上げのようになる。これらは風雨が当たりやすい面のほうが顕著に現れる。表面が削られても腐れや漏水に直結することはないが、長期の耐用年数を期待する場合は厚みのある木板を用いるほうが有利になる。
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