釘まわりや木の反りの影響
こうした木材の性質を念頭において、実際の外壁板張りの耐久性を見ていく。多くの建築実務者が証言するように、木板そのものの耐久性は高い。板塀や外壁で30年以上健全性を保っているものが少なくない。少なくとも外壁全体が腐朽してボロボロになっている状態の建て物を見ることはほとんどない。
外壁板張りをよく手掛ける菅沼建築設計の菅沼悟朗さんは「外壁に張る素材そのものの耐久性ということでは、窯業系サイディングや金属サイディングより高い可能性がある」とその耐久性を評価する。
木材の外部用途にウッドデッキがあるが、外壁板張りはそれよりも圧倒的にもちがよい。その理由は、板を垂直に張っているため、雨が当たっても水が滞留せずに流れ落ちるからだ。また晴天時には日がよく当たるため木材が乾燥しやすい点も有利に働く。水の影響を比較的受けにくいことから、外壁に張られた板材は長持ちしやすい。
外壁板張りは大きく「縦張り」と「横張り」に分けられる。両者を比較すると、前者のほうが水は流れやすい。「横張りは板の先端に水が滞留することがあるため、方角によっては苔などが生えることがある」と菅沼さんは説明する。
木板を細かく見ていくと、10年経過したころから腐朽の兆しは見えてくる。木が膨潤と乾燥収縮を繰り返し、板が割れたり変形したりすることで、水分が滞留しやすい場所が点在するようになるためだ。
まずは節まわりだ。節を取り囲むように割れが入りやすい。さらに割れやすいのが釘まわりだ。木材が乾燥収縮などにより寸法変化を起こすことで、釘まわりの隙間が大きくなる。同時に釘で板を押さえ付ける力が弱くなり、板が浮き上がってくる。これらの隙間から雨水が入り込むようになり、板の裏面などに回ると木板は常に湿った状態となり、腐朽につながる。
釘まわりにはひび割れも生じやすく、そこから浸水することがよくある。釘の打ち方や木板の状態によっては、取り付け直後からひびが入っていることもある。節のまわりにもひびが入ったり、節自体が抜けることもある。こららも水が滞留しやくすくなったり、浸水の原因になる。
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