規格住宅などの商品開発を手掛けるMakeHouse(東京都渋谷区)は9月14日、全国の工務店向けに、耐震等級3(許容応力度計算)・UA値0.6W/m2K以下の性能の規格住宅「S」のリリースを開始した。
BIMxアプリで展開可能な実施図面、CGパースを含むプレゼン資料、詳細な設計図面、45営業日で完結する工程表などをセットで提供。導入する工務店は、すぐに自社商品として展開できるという。
同社社長の眞木健一さんは、3つのタイプ(商品)として販売する同住宅について「工務店にとっての一つのスタンダードになってほしいとの思いを込め、頭文字をとって『S』と命名した」と話す。
間口と奥行きが4間×4間、3.5間×4.5間、3間×5間の3タイプで、販売価格は1タイプ35万円。タイプごとに東西南北それぞれの方位に対応する4つのプランを用意するため、複雑な形状の土地などにも対応できる。
眞木さんは、福岡県で高級注文住宅を手掛ける工務店・MAKIHAUS(福岡市)を経営しながら、2008年に開発した規格住宅「casa cube」をカーサ・プロジェクト(東京都渋谷区)で展開し、現在も両社の会長職を兼任する。
その豊富な住宅の商品開発経験から、眞木さんは「顧客の御用聞きに徹しなければならない現行の注文住宅の仕組みでは、プロの立場から性能、デザイン、コストのバランスが取れた住宅の提案を貫くことは難しく、(営業や設計など)担当者のスキルによってもばらつきが大きい」と指摘した上で、「顧客の要望を叶えながら、プロとして納得できる高性能でデザインにも優れる住宅を提供する選択肢として(規格住宅を)考えてほしい」と語る。
「短納期」で回転数上げる
眞木さんは、発売した規格住宅を工務店が導入することで「すでに展開しているラインアップや事例に変化が生まれ、顧客の関心を引き、集客につながる」と説明する。また、BIMアプリでつくる三次元のデジタルモデルによって、仕上げの詳細に至るまで視覚的に顧客に提案できるなど、プレゼンのクオリティーが飛躍的に向上するという。
設計図面は、意匠図・構造図・設備図、照明計画案など、現場での納まりが分かる標準詳細図に加え、工程表、参考積算書も納品されている。積算の手間の削減など設計スタッフの負担軽減につながる。
45営業日に設定した短い工期も魅力の一つ。眞木さんは「仕様をほぼ固めているため打ち合わせ回数が減り、現場の工程も削減できる。1棟当たりの施工納期が短縮することで経営的なメリットは大きく、また顧客満足度も上がる」と話す。
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