今年の通常国会で道路法が改正され、「歩行者利便増進道路」という新しい道路の姿が登場しました。
道路の車線数を減らして歩道を広げ、オープンカフェを設置したりイベント開催したりできる空間を特例区域として定めることで、歩行者の“賑わい空間”を整備できるというものです。
公募で選ばれた事業者は、そこを最長で20年間使用できるようになります。国土交通省は制度を詰めたうえで、9月末にもモデル地区を公募する予定を発表しています。
新型コロナ対応に苦しむ飲食店を救済
新型コロナウイルス感染症対応に苦しむ飲食店のため、国交省は6月5日に、屋外客席やテイクアウト営業のための道路占用許可の取り扱いの緊急措置(11月30日まで有効)を発表しました。
この緊急措置から発展して、改正道路法では20年にわたり「歩行者利便増進道路」として道路使用が可能となります。
今回の新型コロナ問題を受け、私たちの相談領域のひとつである飲食業界の方々は、休業要請が解除され、再起を図り全力で走り出した途端、感染者数が増え、来店数が伸びないという事態に陥っています。
匠総合法律事務所では、日本食品衛生協会の法律顧問弁護士として、飲食店の方々のサポートを目的とする法律相談対応も行っていますが、抜本的に必要となるのが「街づくり」です。
飲食店がウィズコロナを生き残るための対策として、単に路上客席を実施するだけでなく、20年という長期スパンを視野に入れ、道路と一体となった店舗へのリフォーム対応を早急に実施していきたいところです。
そのためには、店舗デザイン能力を有した建築士事務所や、施工能力を有した工務店の力が不可欠です。
ウィズコロナ時代は安心かつ歩きたくなる街づくりが重要
新型コロナ感染拡大防止策が「外出自粛」とされるのは、「密」を形成する街づくりがなされてきたことが原因であろうと思います。
今回の道路法改正を契機に、新型コロナを心配せずに外出できる街づくりを推進していくことは、地域行政、地域密着型企業の使命ではないかと考えます。
申請行為などは、プロである弁護士に委ねれば可能です。積極的に法改正を活用し、地元飲食店を救済していただきたいと思います。
匠総合法律事務所代表社員弁護士として、住宅・建築・土木・設計・不動産に関する紛争処理に多く関与。2018年度より慶應義塾大学法学部教員に就任(担当科目:法学演習(民法))。管理建築士講習テキストの建築士法・その他関係法令に関する科目等の執筆をするなど、多くの執筆・著書を手掛ける。一般社団法人日本建築士事務所協会連合会理事・法律顧問弁護士。一般社団法人住宅生産団体連合会消費者制度部会コンサルタント。
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