技術力の高い社員大工集団を擁し、デザインや性能、素材にこだわった家づくりを武器に地域で確かなポジションを築いてきた宮城県仙台市の建築工房零(小野幸助社長)は、このほど、社長の小野さんが代表を兼ねるグループ会社・アオバクラフト(同市)と合同で、隣の利府町に2棟のモデルハウスからなる新しい展示場「十符の杜(とふのもり)住宅展示場」をオープンした。
零が手掛ける住宅の世界観をそのまま体現した2400万~3000万円の価格帯のモデルの隣にある1600万~1900万円のグループ会社のモデルについて小野さんは「無駄をそぎ落とした“ 引き算の家づくり”を発信する拠点」に位置付ける。
良質な住宅を、より多くの人たちのもとに届けたい考えだ。
コスト抑えながら 本質的な豊かさは確保
培ったノウハウ生かし、ウィズコロナ見極め事業展開
建築工房零(宮城県仙台市)とグループ会社のアオバクラフト(同市)が、それぞれのモデルを建てて利府町にオープンした「十符の杜住宅展示場」は、週末には多くの家族連れで賑わうイオンモール利府のはす向かいという好立地にある。敷地は面積500㎡余りで、モデルのサイズ(延べ床面積)は、零が約160㎡でアオバクラフトが約120㎡。両モデルとも建築工房零による社内設計だ。
「家づくりへの感度の高い顧客」を主な対象に2400万~3000万円の価格帯の住宅の受注を狙う零のモデルに対して、1600万~1900万円の住宅のアオバクラフトのモデルは、いわゆるローコスト住宅の顧客層に訴求する。
アオバクラフトをグループ会社として迎え入れ、これまでとは違う価格帯や顧客層を対象とする家づくりを展開していく両社の代表を務める小野幸助さんは「販売チャネルを増やして取りこぼしていた層を取り込むという考えはない」と強調したうえで、「ぜいたくや裕福であることが幸せの証ではなく、それは住宅も同じ。無駄をそぎ落としながら大切なものを際立たせる引き算の家づくりは、派手さを嫌いシンプルな暮らしにこそ豊かさを見いだす人たちのニーズに応えられるはずだ」と語る。
磨いてきた設計力を生かす
アオバクラフトは零とは違い、自然素材にはこだわらず、合板やクロスによる仕上げも採用する。小野さんは、零では定番の県産無垢の構造材や漆喰の塗り壁など素材にコストをかけなくても「一本筋の通った設計思想と、それを形にする設計力さえあれば、良質な住まいを提案できる」とする。
アオバクラフトのモデルについても、これまで零が培ってきた「太陽に素直な設計と最適な採光プラン」「家族のつながりを重視した間取り」「外構・植栽を重視し内(室内)と外(庭)をゆるやかにつなぐ」といった設計上のこだわりを落とし込んでいる。
一方で・・・・
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