勉強会で基礎知識を伝える
大沼さんはAさんとラインで緊密にやり取りし、現調から分かったことなどを伝えた。そして、次回打ち合わせを1週間後に設定した。大沼さんは夜を徹してたたき台となるプランを2案作成した。
★Point
・リフォーム案は本格的な大規模リフォーム案とリフォーム箇所を減らしたコストダウン案を用意する
・打ち合わせの合間に日々ラインを活用して情報交換に努める
・事前打ち合わせ→現調→プラン作成→勉強会までを2週間程度で進める
★Point
・プラン提案に先立ち、住宅産業のことや技術的なこと、費用的なことを概観できる知識を伝える
Aさん夫妻が選んだプランの概要は以下の通りだ。
まずは既存建て物が広すぎるので庭側に飛び出した部分を除去して、平面を長方形に近づけた。これにより、偏心率が是正され、耐力壁線が通るなど耐震性も高めやすくなる。
間取りの面では増築部分の座敷をリビングに変え、座敷とつながる廊下や階段室を取り込んでダイニングに変える。さらに最初に建てた住宅部分の居室にキッチンを設けてダイニングとつなぐ。浴室や洗面は既存と位置を変えて、新しいキッチンの脇にまとめる計画だ。
既存建て物が広いのに間取りがぶつ切りで、水まわりが分散していて非効率な配置だったのに対して、開放的で家事動線も短くなり、暮らしやすい間取りとなった。
耐震に関しては、腐朽箇所の軸組を交換した上で面材耐力壁を中心に壁量を確保することと、制振ダンパーを併用することで対処する。制振ダンパーを用いるのは間取りの開放性を過度に損なわないようにするためだ。
断熱は床断熱にポリスチレンフォームを用いる以外は現場発泡ウレタンとし、気密性を高める。窓はすべて樹脂サッシ+Low-Eペアガラスに交換する。地下室と倉庫は手を加えずにそのままとする。プランはこのような内容になっていた。
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