広い地下室をもつ物件
プラン作成に向け、早速大沼さんは現地に足を運んだ。これまで多数の大規模リフォームを手掛けてきた大沼さんだが、熟練したプロの目で見てもAさん夫妻が検討している物件はユニークだった。
まず建て物が大きく3つに分かれていた。1つは敷地の北側に建つ築60年程度の木造住宅。この敷地に最初に建てた建て物だ。その隣に築40年程度の木造住宅が増築されていた。さらにその隣には大きな倉庫が設けられ、増築部分とつなげられていた。
- 大規模リフォームを行う住宅。左手が最初に建てた住宅。中央が増築部分。右手が倉庫
- 増築部分のファサード。玄関の外側に風除室を付け足している
- 風除室のガラスと最初に建てた住宅部分の屋根の取り合い。ガラスを欠いて強引に納めている
- 左手のセメント瓦の屋根は最初に建てた住宅部分。右側の本瓦の屋根と2階が増築部分。新旧屋根や外壁との取り合いを板金でつないで一体化している。
住宅部分はどちらも畳敷きの和風住宅だったが、増築部分の間取りは独特だった。1階は玄関が異様に広く、さらに廊下を挟んで大きな座敷が配置されていた。
- 増築部分の玄関。旅館のような広さ
- 玄関部分の天井。化粧合板による格天井
- 玄関と座敷を隔てる廊下
- 座敷の全景。12畳とゆったりとしたつくり。障子の奥は掃き出し窓
- 座敷の天井。縁甲板と大ぶりな格天井という凝った意匠。この天井は残す方向で検討している
- 座敷を反対側から見る。階段室と廊下はダイニングとして取り込む
2階は15畳の和室と収納だけで構成されていた。
- 階段廻りの様子。障子の奥が最初に建てた住宅部分
- 階段室を見る。増築部分は2階もある
- 2階から階段を見る。階段室の窓は南東向きで夏場は日射がきつい
- 2階の和室の全景。左側奥が階段。2階はこの部屋と納戸のみ。6月末の時点で部屋はかなり暑く、断熱改修が不可欠な環境
玄関や座敷の造作や欄間などの装飾は手が込んでおり、屋根には本瓦が葺かれているなど、費用をかけてつくられたことが見て取れた。一方、最初に建てた住宅は簡素なつくりで、凝った納まりや装飾要素はなく、屋根もセメント瓦だった。
- 最初に建てた住宅部分。6畳や4畳半の部屋が並ぶ。奥が庭に面している方向
- 最初に建てた住宅部分の階段室に隣接する和室。この部分にキッチン を配置する
- 最初に建てた住宅部分の中央に配置された廊下。奥が庭側。右側の洋室はキッチン
- 最初に建てた住宅部分に設けられたキッチン
- キッチンの流し台周辺。開口部の大きさが目立つ。北東に面しているの で採光時間は長い
- 最初に建てられた住宅を裏側(南東面)から見る
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