三菱地所(東京都千代田区)は7月27日、木造建築の木材生産から施工まで統合型で行う新会社「MEC Industry株式会社」を設立したことを発表した。三菱地所が約7割、竹中工務店など6社が約3割を出資。プレハブ化した戸建て事業も行う他、中高層建築物の木質化も推進する。
出資するのは三菱地所、竹中工務店、大豊建設、松尾建設、南国殖産、ケンテック、山佐木材。事業としてはRC造や鉄骨造で使うための木質建材を生産する「新建材事業」、工場であらかじめ生産した部材による戸建ての建設などの「木プレファブリック事業」の2つ。
「新建材事業」では、例えば製材木板に鉄筋を付けたコンクリート打設用の型枠「配筋付型枠」を生産。通常廃材となる型枠を天井材として利用できるようにする。「木プレファブリック事業」では木造建築のプレハブ化を推進。CLT(直交集成材)などにより工場であらかじめモジュールなどを製造し、現場で組み立てる。100m2の平屋なら1000万円未満で供給可能という。将来はコンビニや工場、倉庫など多用途への展開も図る。
MEC Industryでは鹿児島県湧水町の木材加工工場を8月に着工し、2022年4月の操業開始を予定している。鹿児島県など南九州の木材を活用し、10年で売上100億円を目指す。7月27日に行われた記者発表会で森下喜隆社長は、「原木調達から施工まで統合型の事業スタイルで行う。ニーズの高い商品に絞り込み低コスト化を進める」と説明。また「中高層建築物の木質化を進める」とし、国土交通省や林野庁に規制緩和の要望も行っていく旨も明らかにした。
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