財団法人日本住宅・木材技術センター(東京都江東区)は、国産材の有効活用や普及に貢献した企業・団体をたたえる「住宅・木材振興表彰」を実施。地方公共団体や住宅・木材関係団体などから推薦のあった表彰候補者を、同財団の審査委員会が審査・決定し、このほどその結果を公表した。
林野庁長官賞に選ばれたのは、オロチ(鳥取県)ほか2社。国土交通省住宅局長賞は住田住宅産業(岩手県)ほか2団体。日本住宅・木材技術センター理事長賞には、兼松日産農林(東京都)ほか3団体が選ばれた。住田住宅産業に代表されるように、地域の木材や木造技術を使って東日本大震災の被災地支援を積極的に行った企業・団体も高く評価された。受賞者とその受賞内容は次のとおり。
◆林野庁長官賞
・オロチ(鳥取県):国産間伐材のスギ・ヒノキを材料とし、加工しにくい小径木や曲がり材もムダなく利用できる「国産材LVL」を製造販売することで地域資源の有効活用を実現。
・大東建託株式会社(東京都):独自の集成材(国産材ラミナ)フレームに耐力パネルをはめ込む構造耐力壁を採用した新工法を導入。スギを活用した2×4工法のスタッド材を開発し一部地域で使用するなど地域材利用を積極的に進めている。
・新潟合板振興(新潟県):越後スギを活用した住宅・型枠用合板の開発・製造に積極的に取り組んでおり、中越地震、中越沖地震、東日本大震災において資材が不足するなか仮設住宅用の復旧・復興資材の供給に貢献。
◆国土交通省住宅局長賞
・住田住宅産業(岩手県):東日本大震災による仮設住宅建設が進まないなか、いち早く地域材を活用した木造仮設住宅の建設に着手し、被災者に提供。建設作業にあたる職人を被災地から雇用するなど被災地の救援、復興に貢献。
・福島県建築大工業協会(福島県):県内大工・工務店における県産材利用の取り組みや伝統的な住宅建築工法をわかりやすくPR。東日本大震災では会員が連携して木造応急仮設住宅を建設、県内で約300戸建設した。
・サカモト(鳥取県):地域産の智頭杉の活用を図るため、人工乾燥による安定した品質の構造材や床材、難燃処理を行った壁材などを生産。異業種と連携して木製ブラインドや和紙を使った家具を開発。
◆日本住宅・木材技術センター理事長賞
・兼松日産農林(東京都):スギ材を主体とする国産材を使用した地盤改良基礎杭の常水面以浅での耐久性能や地盤補強効果が評価された。液状化抑止工法として、実験データに基づく設計法の確立に期待。
・池見林産工業(大分県):国産針葉樹を原料に高品質な無垢内装材を開発。独自開発の「埋木補修技術」により原木の多くを占める節有材を活用し、2011年度には1万3000立米の生産を見込む。
・組手什おかげまわし東海(愛知県):間伐材や端材から棚などを製作できる部材の開発・販売に取り組み、各地に技術移転して地域材の利用拡大を図る。また材料の調達のため、2m前後の丸太を集める「木の駅」の設置や地域通貨制度にも取り組む。
・日本木槽木管・新城工場(愛知県):樹脂やステンレス製の受水槽が大半を占めるなか、スギの芯材を使用した木製水槽の製作・販売に取り組み、地域材の利用拡大と木材の良さを普及。地域の美しい街並みの形成にも貢献。
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