不動産経済研究所(東京都新宿区)は7月15日、6月の首都圏と近畿圏のマンション市場動向を発表した。首都圏の新規発売戸数は前年同月比31.7%減の1543戸となり、月間の最少記録更新は2カ月でストップした。契約率は7.3ポイント上昇の73.2%。首都圏の今年上半期(1~6月)の発売は前年同期比44.2%減の7497戸で、新型コロナウイルス感染拡大での緊急事態宣言によるモデルルーム閉鎖などの影響で、1992年の1万959戸を下回り、1973年の統計開始以降最低で初の1万戸割れとなった。年間予測も過去最低の約2万戸の見通し。
6月のエリア別の発売戸数は東京都区部が前年同月比18.2%減の730戸、都下が2.2%減の134戸、神奈川県が70.8%減の180戸、埼玉県が76.2%減の69戸、千葉県が33.1%増の430戸。1戸当たり平均価格は7.1%上昇の6389万円、m2単価は5.4%上昇の96.9万円。
上半期のエリア別の発売戸数は東京都区部が前年同期比29.6%減の3845戸、都下が40.5%減の761戸、神奈川県が53.1%減の1562戸、埼玉県が74.8%減の498戸、千葉県が40.1%減の831戸。都区部のシェアは51.3%となった。初月契約率の平均は1.8ポイント上昇の68.3%。1戸当たり平均価格は8.7%上昇の6668万円、m2単価は13.7%上昇の103.1万円。価格は1991年の6450万円、101.9万円を上回り過去最高となった。
7月15日に国土交通省で行った記者説明会で不動産経済研究所・調査事業本部企画調査部の松田忠司主任研究員は「建築費の高騰や高額物件の多い都区部のシェア拡大で、供給戸数が少なく価格は高止まりしている」と説明した。また「高額化が進むと、特に郊外は戸建てへの消費者のシフトも考えられる」と述べ、立地以外にテレワーク用スペースの確保なども消費者の選択に影響を与えるとした。年間の発売予測の約2万戸は前年比36.0%減で、1975年の2万3744戸を下回り過去最低となる。
近畿圏の6月の新規発売戸数は前年同月比6.2%減の1407戸。契約率は2.9ポイント下落の70.4%。1戸当たりの価格は7.3%上昇の3608万円、m2単価は2.0%下落の64.0万円。今年上半期の発売戸数は前年同期比29.5%減の5299戸で、1992年の4430戸以来の低水準。平均契約率は3.5ポイント下落の70.5%。1戸当たり平均価格は4.5%上昇の4027万円、m2単価は4.1%上昇の68.0万円。年間発売予測は前年比26.2%減の約1万3300戸を見込んでいる。
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