東京都は7月10日、「民間空き家対策東京モデル支援事業」と題し、最新のICTを用いるなど先進的な空き家活用や発生抑制などを行う民間事業者に対する補助事業を行うと発表した。ICT活用の場合、1件当たり最大3500万円の補助金が交付される。
募集する事業は(1)TDH(TOKYO Data Highway)等を活用した先端技術を駆使した空き家対策(2)東京ささエール住宅(セーフティネット住宅)への改修(3)コミュニティ支援(4)空き家の発生抑制対策-の4つ。
TDHとは5GやAIなど先端技術を駆使する構想で、これによる空き家対策を行う。例えばVR(仮想現実)を用いたリモート内覧や空き家のバーチャルリフォームの提示、AIによる価格査定システムの実証の他、空き家のテレワーク拠点としての活用も想定されるという。1件当たり3500万円を上限に、対象経費の3分の2を補助する。
東京ささエール住宅への改修は、空き家を子育て世帯向け、ひとり親世帯向け、外国人就労者世帯向けのいずれかの賃貸住宅に改修し、ささエール住宅に登録することが要件。1戸当たり200万円を上限に、3分の2を補助する。住宅確保要配慮者のみ入居対象となる、ささエール住宅の専用住宅に登録の場合は補助率を6分の5に引き上げる。
コミュニティ支援は空き家を改修して地域の交流イベントスペースや、子育て世帯や高齢者の交流の場にすることなどを想定。1件当たり150万円を上限に、3分の2を補助する。空き家の発生抑制対策は、持家のある高齢者などに終活サポートやセミナーを実施したり、自宅活用の検討支援を行ったりするなど、そもそもの空き家の発生を抑えるための取り組みに支援を行う。1件当たり1000万円を上限に対象経費全額を補助する。
小池百合子知事は7月10日の記者会見で「都内には約81万戸空き家があるとされているが、都市問題として顕在化させずに地域の資源として活用していきたい」と述べた。また「多摩地域を視察した時に、不動産業者からICTによって細かな内覧ができるようになったという話も聞いた」とエピソードを話し、先端技術を役立てたいとした。
都では8月から応募を受け付ける。詳細はこちら。
また都では東京ささエール住宅への住宅設備の導入の補助も別途行う。6月に成立した新型コロナウイルス対策の補正予算で1億円を計上していた。補助対象となるのはエアコン、ヒートショック対策設備(温水洗浄便座など)、ごみ収集庫、LED照明、宅配ボックス、インターネット接続機器、テレビモニター付きインターホンの7種類。住宅の魅力を高める設備とした。補助率は設備の購入費および設置費の3分の2で、上限額は1棟当たり設備を導入する新規登録戸数と既登録戸数に10万円を乗じた額。例えば登録6戸のアパートなら60万円が上限。高齢者、障害者、子育て世帯、低額所得者のいずれかを受け入れる登録とし、10年間の登録維持が必要となる。
実施期間は8月上旬から2021年3月末で、事業規模は1000戸となっている。詳細はこちら。
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