神奈川県藤沢市の工務店ecomo(エコモ、中堀健一社長)が昨年2月に分社化したlog build(ログビルド、同市内)が開発を進めてきた、IoTロボットを活用してリモートで現場(施工)管理を行うシステムが、このほど完成した。
同システムでは、現場監督の分身となって自由自在に現場内を動き回るロボットを介して、職人と双方向のコミュニケーションを交わす。
監督は、スマートフォンやタブレット端末、パソコンを使い、自宅やオフィス、出先など場所を選ばず、数多くの現場管理を同時に進めることが可能だ。
ログビルドでは同システムを、サブスクリプションモデル(月額利用料金制)で全国の工務店に展開する。
現時点で、すでに数十社が導入を決めており、10月から順次提供をスタート。
来春をめどに本格展開に踏み切る。
工務店による家づくりの生産性向上のカギを握っているとも言える現場監督の業務を大幅に効率化する“ 秘密兵器”として注目を集めそうだ。
現場革命で人手不足を解消し働き方を変える
“スマートビルダー”普及めざす
人手不足が慢性化している住宅業界で、いくつもの現場をかけもちで管理することが当たり前になっている現場監督の業務負担の増大は深刻な課題だ。エコモ(神奈川県藤沢市)のグループ会社のログビルド(同市)が開発した、現場に行かずにリモートで現場管理を進められる「ログシステム」には、現場管理業務の効率化と同時に、人手不足解消の切り札としても期待がかかる。
同システムでは、独自開発の専用アプリによって、高さ約1.1mのIoTロボット「Logkun(ログくん)」を遠隔操作。ロボットは現場で、サッシの取り付け後から引き渡し直前まで使用するという。高低差がある場所でもバランスを保って自走できる三輪走行式で、高解像度で中継・録画できる360度カメラやスピーカー、LEDライト、テレビ通話ができるタブレット型のモニターなどを装備する。
現場監督は、インターネット環境があれば、どこにいてもスマホなどでロボットを手軽に操作することによって、納まりなど細部まで自在に確認できるほか、大工など職人といつでも円滑にコミュニケーションできる。また、モニターで図面などを共有することで、精度の高い打ち合わせや指示をすることも可能だ。
さらに今後は、セキュリティー機能を強化していく方針で、赤外線カメラにより夜間の人の出入りを自動監視し、侵入者を検知するとフラッシュが自動発光して写真をクラウド上に保存する機能などを追加するという。
監督の移動時間を大幅に削減
エコモ、ログビルド両社の代表を務める中堀健一さんは「監督業務の大きな負荷になっているのが移動時間」と指摘した上で、「ロボットを活用したICT化により、現場に行かなくても監督の本質的な業務である現場の進捗管理や図面との整合性のチェック、品質確保、職人とのコミュニケーションは滞りなくできる」と強調する。
エコモが、自社の現場監督の移動時間について調査したところ、新築注文住宅1現場あたり、75~90時間を移動だけで費やしていることが分かった。「足りない金物を持って行ったり、トラブルの対応など細かい業務の積み重ねで、合計すると一つの現場が終わるまでに50~60回は行っている」と中堀さんは話す。
移動時間の調査と並行して、現場監督の業務を60項目に細分化して同システムの実証実験などを行った結果、60のうち47項目はリモート対応できるという結論に至った。それを受けエコモでは、現場監督用の車両を3台から1台に減らしたが、これまで通りの現場管理ができているという。
中堀さんは「現場を飛び回る監督は、移動に時間を奪われ、本来の業務に集中できない。今後、人手不足がさらに加速すれば・・・・
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