工務店や建設会社と職人を繋ぐマッチングサイト「クラフトバンク」を運営するユニオンテック(東京都新宿区、韓英志社長)は、建築など工事現場での新型コロナウイルスの感染を防ぐシステム「クラフトバンク入退場管理ツール」を無料で提供する。スマートフォンやタブレット端末を使い、現場ごとに出入りする社員や職人など関係者一人ひとりの健康状態などをチェックし、万が一、感染者が発生した場合には、現場関係者との接触状況を把握できる。
東京都が7月2日に公表した都内の新規感染者数は約2カ月ぶりに再び100人を越え、緊急事態宣言の解除後では最多となった。第2波襲来のリスクが現実味を帯びる緊迫した状況だ。こうした状況のもと、工務店などによる建築の現場も、コロナの長期化を見据え、現場関係者の感染リスクを排除する対策を徹底しながらも、工期内に工事を完成させなければならない難しい運営を迫られる。
ユニオンテックが工務店や建設会社などに向けて無料で提供する同ツールでは、現場監督が現場ごとに管理ページをブラウザ上に開設し、現場に出入りする関係者がQRコードからアクセスして、個人情報の取得に同意した上で、所属会社や名前、連絡先、体温を記入する。体温が37.5度以上あると入場できず、全ての項目に記入しないと、現場監督にアラート(警報)が届く。
現場内での3密(密閉・密集・密接)を避ける機能もある。管理ページに現場の施工規模(延べ床面積)を登録すると、「10m2(初期設定)に1人」の計算式で現場に入っていい最大人数を自動算出する。現場監督は、その結果に従ってソーシャルディスタンスを確保できる作業環境を意識して、職人を差配できる。
同社では、建設現場における新型コロナの感染予防対策や熱中症対策をまとめたガイドラインもウェブサイトで無料公開。「ツールとガイドラインを併用することで、現場で働く人たちの安全確保を徹底してほしい」と呼びかける。
プロジェクト責任者の同社の田久保彰太さんは「建設の現場は、さまざまな業種や企業の職人などが混在し、1社が単独でルール化していたとしても効果は限定される。現場単位で感染対策を徹底してクラスター(感染集団)を未然に防ぐという発想と、業界全体でコロナ感染の封じ込めに取り組むという意識が必要不可欠だ」と話す。
BCP(事業継続計画)の専門家で、危機管理専門メディア「リスク対策.COM」編集長の中澤幸介さんの話。
「検温などのルールを決めても実際は徹底することが難しい。それを守らない人がいた場合に、管理者にアラートで知らせるなど仕組み(システム)化して運用する手法はルール徹底に有効ではないか」
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