6月5日の改正大気汚染防止法交付に続いて7月1日、労働安全衛生法に基づく改正石綿(いしわた)障害予防規則が交付された。解体工事前の届出や資格者による調査、作業状況の保存義務などが新たに盛り込まれ、怠った事業者には罰則がある。
解体や改修工事でのアスベスト対策を規定している石綿障害予防規則では、従来からアスベストを含む建材全般に渡って、使用した建物の事前調査や作業計画の提示、さらに負圧隔離など、解体工事に関わる人の安全を守る規定を盛り込んできた。
今回の改正石綿障害予防規則では一層踏み込み、「アスベストが含まれない建築を含む、一定規模以上の解体や改修工事全般について」事前調査結果の届出(電子届出システム)が創設された。「一定規模」とは、解体面積80m2以上の建築ないし請負金額100万円以上の改修工事で、厚労省では該当する解体工事を年約20万件、改修工事210万件と想定している。
事前調査結果の届出で事業者が求められるのは「アスベストの有無」の1点だ。例えば、製造期間が1961年から2004年の通称「コロニアル」や「カラーベスト」などアスベストの混入が明らかなものは簡単に判断できるが、「仕上げ塗材」など設計図書や建材試験センターのデータべースでも調べることが困難な建材は、検査を外注して有無を判別するか、みなし規定で「有」とみなされる。
アスベスト建材が含まれると判明した建築物に関しては、資格者による調査と調査結果の3年間の保存、現場への備え付け、作業状況等の写真による記録と3年間の保存、などの義務が追加される。
「戸建て」の石綿調査者を新設
特に調査者による事前調査の義務付けでは、資格者としてこれまであった特定と一般の石綿含有建材調査者のほか、「戸建て」の石綿含有調査者が新たに新設される。厚労省では「建設業の事業所数に匹敵する約40万人程度の調査者育成」を見込んでいる。
課題は契約後の金額増額と工期延長
日本アスベスト調査診断協会の本山幸嘉理事長は「これまでの不十分な事前調査や不適切な除去によるアスベストの飛散が改善されることを期待している。しかし、工事契約を締結してから調査でアスベストが見つかった場合は処分費分の増額、工期の延長などがトラブルの原因となる。契約前に施主に対する十分な説明が必要になる」と指摘している(クラッソーネ主催のアスベスト規制強化に関するセミナーで)。
※改正石綿障害予防規則については、7月10日発行の新建ハウジング紙面にて詳細を解説します。
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