豊かな自然に恵まれた福島県のシンボル・猪苗代湖(猪苗代町)のほど近くに、廃校となった小学校の跡地と3階建てのかつての校舎がある。
その旧小学校が6月末、工務店の事務所やカフェ、家具店、インテリアショップ、キャンプなどが楽しめるプレーパークを備える多目的拠点として生まれ変わった。
拠点を運営するのは、「Roots(ルーツ)工務店」の名称で住宅事業を展開する地域工務店・グリーンライフ(長谷川真児社長)だ。
郡山市内にあった本社を、リノベーションした同校舎内に全面的に移転。
新たな場所から、自然に親しみながら、日々の暮らしそのものを楽しむライフスタイルを発信する。
コロナ後の地域工務店には、これまで以上に「暮らしをつくる」機能が求められるはずだ。
豊かな自然に恵まれた場所で
「環境共棲型」の暮らしを提案
グリーンライフ(福島県猪苗代町)は、郡山市の本社・モデルハウスと、同町内の別の場所で運営していたカフェ、家具店、インテリアショップ、プレーパークの拠点を、同町の山潟地区にある旧小学校跡地に集積させた。新たに生まれた拠点の名称は「Roots猪苗代」。新型コロナウイルスの影響に配慮して、まずは6月末にオーナー(OB顧客)や町民などに来場を限定してスモールオープンした。敷地内では今後、プレーパークの整備などを進めながら、9月のグランドオープンを目指す。
旧山潟小学校の跡地の敷地面積は8060m2。校庭とRC造3階建ての建物(旧校舎)の1・2階部分の1600m2について、建物を所有する猪苗代町からNPOを介して賃借し、拠点を運営する。
それまで本社やモデルハウスがあった郡山市は、東北地方では宮城県仙台市に次ぐ経済規模で、中核市にも指定されている。そこから自然豊かな猪苗代町に全面的に移転したことについて、Roots猪苗代の企画運営に携わる同社の大室由佳さんは「当社の家づくりを発信、提案するために場所は市街地にこだわる必要はない」とし、「地域産の木材や大工の手仕事を生かした住まいと“環境共棲型の暮らし”を発信、提案するには、むしろ自然に恵まれた場所の方が相性はいい」と話す。
SDGs経営を実践
湖や森林など広大な自然に囲まれた環境で、廃校を利活用するというスタイルは、SDGsを踏まえた企業理念に合致し、理念を具現化した自社のブランドも伝えやすい。大室さんは「あえて街の中心部から離れるという、従来の工務店経営のセオリーとは逆張りの戦略を意図的に選択した」と説明する。
同社の移転については、地元の活性化に力を入れる猪苗代町も歓迎。同社としても、建物の中に、地域住民が交流したり、地元のアーティストやクラフト作家らが作品を展示したりできるスペースを設けるなどして、積極的に地域の活性化を後押しする考えだ。こういった面からもSDGs的経営を重視していることがよく分かる。
アウトドアの楽しみ方を伝える
校庭に隣接する森に整備するプレーパークでは、来場者が住宅建築で余った端材を使って工作したり、木からロープでつった「ターザンブランコ」で遊んだりできるほか、キャンプや焚き火も楽しめる。週末には・・・・
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