国税庁は7月1日、今年の路線価を発表した。47都道府県庁所在地のうち前年比5都市増の38都市で最高路線価が上昇した。ただし今後、新型コロナウイルス感染拡大により広範な地域で大幅な地価下落がある場合は、初の補正率を導入し、補正をかける場合もあるとした。
路線価は相続税や贈与税の課税のため、毎年1月1日を評価時点として、時価の80%をめどに算定される。路線価が時価を下回っている場合は路線価に基づき課税額を算出するが、路線価が時価を上回る場合は通常は納税者が依頼する不動産鑑定士による鑑定評価などに基づき、個別に評価する。
しかし今年は新型コロナの影響で、大幅な地価下落が広範囲で起こる可能性がある。その場合、納税者に対し鑑定のために負担を強いるケースが多発するため、国税庁が補正率を示す方針としている。国税庁によると1990年代のバブル崩壊や2008年のリーマンショックで20~30%を超える下落があったが、この時は個別に不動産鑑定士による鑑定のうえでの納税が行われた。今回、もし補正率が導入されたら初となる。
国税庁によると7月1日時点の地価を国土交通省が9月ごろに発表する都道府県地価調査や、同じく国交省が四半期ごとに発表する地価LOOKレポートを基に、補正率導入について検討するという。
47都道府県庁所在地のうち上昇率が10%以上の都市が前年度から2都市減の12都市、上昇率5%以上10%未満が3都市増の9都市、上昇率が5%未満の都市が4都市増の17都市。横ばいの都市は5都市減の8都市。下落都市は前年度と同じく1都市。今回の下落都市は茨城県水戸市のみで2.2%下落だった。
最高額は鳩居堂前である東京都の「中央区銀座5丁目」が、1m2当たり前年比0.7%上昇の4592万円で、4年連続で過去最高を更新している。上昇率が最高なのは沖縄県那覇市の「久茂地3丁目 国際通り」で40.8%上昇の145万円。次いで大阪市の「北区角田町 御堂筋」で35.0%上昇の2160万円、3位は神奈川県横浜市の「西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り」で34.5%上昇の1560万円。この3カ所が上昇率3割超えで、インバウンドの増加や再開発が影響した。
標準宅地の評価基準額の対前年変動率は、全国の平均値が1.6%の上昇で、前年比0.3ポイント拡大し5年連続の上昇となった。都道府県別の動向は下記の表の通り。
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