国土交通省は6月26日、「東日本大震災による津波被害からの市街地復興事業検証委員会」の第1回会合を開催した。2011年の東日本大震災後の安全な高台への集団移転などの復興のためのまちづくり事業を検証し、今年度末をめどに復興まちづくりガイダンスを策定する予定としている。
震災後の岩手県、宮城県、福島県の復興まちづくりは、浸水区域から高台などに集団移転する防災集団移転促進事業、土地のかさ上げなどを行う土地区画整理事業、用地買収などで業務施設や公益施設など復興の中心地域を整備する津波復興拠点整備事業の3つを行った。防災集団移転促進事業は321地区、津波復興拠点事業は24地区、土地区画整理事業は住居系50地区、非住居系は6地区の計410地区を計画。造成が完了していないのは土地区画整理事業の住居系2地区、非住居系9地区のみとなっている。民間住宅等用地は防災集団移転促進事業では8375戸全て造成完了。土地区画整理事業では9357戸の計画のうち99.2%の9303戸で完了している。
市街地復興事業では、平時のように住民全体でまちづくりをやっていく余裕がない他、変化する被災者意向の把握、さらには大きな被害のあった移転元地の利活用や換地・買収など様々な課題も出たという。委員会ではこういった課題を検証。今後の災害にも役立てるよう2021年2月には復興まちづくりガイダンス案を提示する予定としている。北村知久・都市局長は会議の冒頭「南海トラフ地震など大きな地震も懸念される中、今回の復興の過程から論点を探り、どういった点を反省し、後世に残すか議論したい」と述べた。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。