大東建託(東京都港区)は6月18日、「いい部屋ネット 街の住みここちランキング2020<首都圏版>」と「いい部屋ネット 住みたい街ランキング2020<首都圏版>」を発表した。実際に住んでいる住民の住み心地評価と、住みたい街についてアンケート調査を実施。駅単位で見た「住みここち」の1位は半蔵門・麹町グループ(東京メトロ半蔵門線)、「住みたい街」は吉祥寺だった。調査は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県在住の20歳以上の男女が対象。「住みここち」は2019年度の5万7795人、今年度の6万5311人の計12万3106人、「住みたい街」は今年度の6万5311人から算出した。1553駅を近接駅はグループ・エリアでまとめ1409とした。
「住みここち」はトップの半蔵門・麹町は皇居に近く桜や各国大使館が多いエリア。一方で大学や私立中高一貫校もある、古くからの住宅街でもある。2位は築地・新富町エリア(東京メトロ日比谷線)、3位は世田谷代田(小田急線)、4位は広尾(東京メトロ日比谷線)、5位は東大前(東京メトロ南北線)。「住みここち」は回答者が30人以上の駅が対象で、半蔵門・麹町、世田谷代田、東大前は2019年には対象外だった。世田谷代田は、平均家賃相場9万円未満で25m2、駅徒歩10分、築10年のマンションを基準に推定した「穴場の街」で1位。小田急線の地下化で再開発が進んでいることが要因という。
「住みたい街」のトップは吉祥寺(東京都)、2位が横浜(神奈川県)、3位が恵比寿(東京都)で2019年と変わらず。4位はみなとみらい(神奈川県)、5位は鎌倉。今年は例えば「横浜」と入力されたら周辺駅も表示し、さらに選択させる方式としたため、みなとみらいは2019年の23位から一気にアップした。
新型コロナウイルスの影響について、大東建託・賃貸未来研究所の宗健(そう たけし)所長は6月18日のオンライン発表会で「別途調査していて、元々2割、コロナでさらに1割増が郊外居住志望となっている。一方で都心居住志望も元々2割、コロナでさらに1割増といったところ」と分析。勤務者の7~8割はテレワークしていないことなどで、極端な郊外志向になっていないと説明した。また原発事故の放射能問題のあった2011年の東日本大震災と比較して、コロナについては住む場所による危険性が大きく変わらないことも、「住みここち」や「住みたい街」への影響が少ない理由として挙げた。
大東建託では今回の調査結果を「いい部屋ネット」による物件紹介やアパート建築営業に活用する方針。「いい部屋ネット」はライフスタイルや家族構成に合った物件紹介に生かす。アパート建築について宗氏は「住みここちと住宅供給の相関性は薄いが、オーナーへの提案に調査結果は活用したい」と述べた。また「この調査結果はまちづくりで有用だと思う」とし、地方自治体に基礎資料としての提示も想定していることも説明した。
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