被災地で求められる「ファストハウジング」に対応
大型パネルの実力。
2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震で震度7を記録し、200棟以上の住宅が全壊した北海道厚真町で、このほど災害復興住宅の建設が始まった。建設にあたって、ウッドステーション(千葉市、塩地博文社長)の大型パネル工法を導入。職人不足の中、被災住宅の補修と災害公営住宅の新築を同時に進めるための策として、大型パネルの採用に踏み切った。
■合理化で生まれる人的余裕を被災住宅の補修にあてる
北海道厚真町は、本郷、新町、上厚真の3地区に9棟32戸の災害公営住宅を建設する。うち1棟が2階建て、残り8棟は平屋建てで、全棟大型パネル工法を採用しており、5月12日には、上厚真地区で1棟目が上棟。21日には2棟目が上棟した。
施工は、地元建設業者の企業共同体が請け負っているが、全社大型パネルを扱うのは初めて。1棟目は8時間半を要したが、2棟目は職人らの慣れもあり、6時間ほどで上棟した。
2棟目の建て方にかかる時点で、1棟目は内部造作の段階にまで工事が進んでいた。上厚真地区の2棟は、9月末に竣工、引き渡しの予定だが、予想以上に早く工事が進んでいるため、予定が早まる可能性もあるという。今後、本郷地区の2棟が6月に、新町地区の5棟は7月に着工する。両地区とも、10月下旬の竣工、引き渡しを予定している。
■被災住宅の補修が急務
北海道胆振東部地震によって、厚真町では222棟の住宅が全壊。一方、半壊は308棟、一部損壊も1045棟に上った。被災住宅の補修も急務で、復旧と災害復興住宅の整備を、限られた職人で並行して進めなくてはならない状況にあった。
厚真町役場の担当者・江川泰弘さん(建設課建築住宅グループ主査)は、補修工事に、消費税増税前の駆け込み需要も重なっていたことから、職人不足が災害公営住宅の建設にも影響すると予想。さらに、工期が厳寒期に重なる予定だったことから「厳寒期も最大限進捗するよう、工場生産を可能な限り活用する」ことを決めた。
北海道ではツーバイフォー工法が普及しており、当初はツーバイフォーで建てることも検討された。しかし、厚真町周辺は在来工法のシェアが高いエリアだ。ツーバイフォーでは将来の維持管理が難しくなると想定されたため、大型パネルによる在来工法が採用されるに至った。
■設計・施工上の自由度が決め手に
数あるパネル工法の中からウッドステーションの大型パネルを採用したのは、この事業が公共事業なのも影響しているという。設計・工事監理や施工を委託する事業者は、入札で決定することが前提になるが、パネル工法でもフランチャイズクローズドな工法では、事業者が限定されてしまう。
ウッドステーションの大型パネルは、設計や仕様に合わせてパネルを製作するため、どの事業者が選ばれても対応できる。ウッドステーション社長の塩地博文さんは「当社は、あくまで建材、部材の供給者のような立ち位置」と説明する。
また、江川さんも「特殊な部分がないので設計に追従でき、初めて施工する職人でも問題ない」点が、大きな決め手になったという。
■工期短縮で天候やコロナの影響も軽減
塩地さんは「公共事業で採用されたことは、大型パネルが公正に評価された結果だと考えている」と話す。特に・・・・
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