ハイアス・アンド・カンパニー(東京都品川区)はこのほど、「withコロナ/アフターコロナ時代の住宅に関する意識調査」を実施し、その結果を発表した。「新型コロナウイルスの予防や感染防止にも関わる、住まいの性能と家族の健康」についての質問である旨を提示した上で、住まいの性能と家族の健康には関係があることを知っていたか尋ねたところ、56.3%が「聞いたことがない」と回答。「聞いたことはあるが、詳しくは知らない」が37.5%、「聞いたことがあり、詳しく知っている」が6.2%だった(下グラフ)。
「聞いたことがある」(「聞いたことがあり、詳しく知っている」または「聞いたことはあるが、詳しくは知らない」)とした人を対象に、住宅の性能に関連する言葉について調査したところ、「ヒートショック」と「住宅内の熱中症」は、6~7割程度が聞いたことのある言葉だと回答。「高気密高断熱住宅」を聞いたことがある人は半数程度だった。しかし、建物の断熱性能を示す「UA値・Q値」については2割程度にとどまった。自然環境の力を利用する工夫がされた建物を指す「パッシブハウス」、建物の気密性能を示す「C値」に至っては、2割に満たないという結果だった。一方で、住まいの性能と健康の関係について「聞いたことがあり、詳しく知っている」と答えた人だけに限ると、「パッシブハウス」を聞いたことがある人は約3割。「C値」は約5割、「UA値・Q値」は約6割となった。
回答者に、「C値と換気性能の関係」を示した画像と、「断熱性能の高い家に転居後の有病率の低下」を示した画像(下図)を見せ、関心を持った内容(画像)を尋ねたところ、住まいの性能と健康の関係について「聞いたことがない」とした人では、「C値と換気性能の関係」に関心を持った割合は21.9%だった。同じく「断熱性能の高い家に転居後の有病率の低下」に興味を持った割合は26.6%。いずれの内容にも関心を持たなかった割合は65.1%となった。しかし、住まいの性能と健康の関係については「聞いたことがない」が、「自らの健康には、常に気を使う」(個人の価値観に関する質問での回答)とした人に限ると、30%以上がどちらの内容にも関心を示した。
調査結果から、同社では、withコロナ/アフターコロナにおいて「健康に暮らす」ということへの関心が高まる中、住まいの性能と住まい手の健康には大きな関係があることが詳しくは知られておらず、住宅業界からの情報提供はまだ不十分だとし、実験などで既に証明されている「健康な暮らしを送るためには高性能な住宅が不可欠である」という情報を、住宅検討者だけではなく、一般の生活者にも適切に継続的に提供し、広めることが必要だとした。
同調査では、個人にあてはまる価値観についての質問も実施。個人の価値観としては、「信頼すべきは友人より家族」(55.4%)、「あくせく働くよりも、のんびり日常を過ごすことのほうが幸せ」(52.8%)「自らの健康には、常に気を使う」(42.8%)との回答が多かった。ビフォーコロナからの変化を比較することはできないが、外出自粛要請を受けて自宅で家族と共に過ごす時間が増えたことが影響を及ぼしているのではないかと推察している。
調査期間は5月21日~22日。全国の一般生活者を対象に、インターネットアンケートを実施。回答数は341。
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