ダイキン工業(大阪市北区)と理化学研究所(理研、埼玉県和光市)の連携組織である「理研BDR-ダイキン工業連携センター」はこのほど、夏季のオフィス環境における快適性や疲労の改善に有効な温度・湿度を検証した。その結果、室温28度でも湿度を55%以下に保てば快適性が向上し、さらに40%以下であれば疲労も軽減できることが実証された。
今回の検証では、試験環境として温度4条件(24、26、28、30℃)と湿度3条件(40、55、70%)を組み合わせた計12条件の温湿度環境を設定。健康な成人の参加者(男性57名、女性57名、年齢40.6±12.5歳)に疲労負荷をかける認知課題を与えて、10分ごとに疲労感や快適性などについての心理的な評価を行った。
その結果、体感温度では30度条件で湿度を低くするほど体感温度が低く感じられ、28度条件では湿度を55%以下に調節すれば、より涼しく感じられることが確認された。
不快感・疲労感については、26~30度までの幅広い室温条件において、湿度を下げることで不快感が軽減されることが明らかになった。疲労感については、室温28度、湿度40%の条件下において顕著な低下が見られ、55%以下でも軽減の傾向が見られた。
生理的な影響の検証では、自律神経活動の指標となるLF/HF値について有意な上昇がみられ、室温の上昇に伴って体温調節機能を司る自律神経系への負荷も増加している可能性が窺えた。夏季に想定される温度環境(24~30度)では、湿度を70%から40%に下げることで、心拍数に関する有意な抑制効果がみられた。
性別による違いについては、男女の基礎代謝の違いにより、女性の場合は24度まで下げてしまうと、寒さで不快に感じる人が増えることが確認された。
理研とダイキン工業は今後、体温調節のメカニズムの解明に向けて、激しい温度差による人体への影響を評価した試験の結果についても発表を行う予定。ダイキン工業は今回の研究成果を応用した製品・ソリューションの開発も進める。
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