不動産経済研究所(東京都新宿区)は5月20日、4月の首都圏と近畿圏のマンション市場動向を発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、首都圏の新規発売戸数は前年同月比51.7%減の686戸となった。これは1973年の統計開始以降最低で、これまでのワーストである1975年1月の705戸を下回った。契約率は14.6ポイント上昇の78.9%で、契約が見込まれる人気物件の発売で大きくアップした。
新型コロナのため大手デベロッパーを中心にモデルルームが閉鎖しており、販売活動がほぼ止まっていることが大きな発売減につながった。エリア別の発売戸数は東京都区部が42.1%減の420戸、都下が73.4%減の45戸、神奈川県が55.6%減の136戸、埼玉県が39.3%減の74戸、千葉県が88.8%減の11戸。1戸当たり平均価格は5.4%上昇の6216万円、m2単価は9.6%上昇の102.0万円。
5月20日に国土交通省で行った記者説明会で不動産経済研究所・調査事業本部企画調査部の松田忠司主任研究員は、コロナ禍によりモデルルームが閉鎖している他に、2019年下期から販売に時間がかかっている状況も説明。「発売戸数の年間3万戸割れの可能性は高い」とした。価格も2014年以降人件費上昇が主な要因で高止まりしていることも述べた。5月の発売戸数予想は500戸で、松田氏は「(首都圏が)1カ月間ずっと緊急事態宣言下にあり、4月以上に少なくなる」と説明した。
近畿圏の4月の新規発売戸数は前年同月比42.0%減の494戸で、バブル崩壊後の1992年8月の410戸以来の低水準となった。契約率は2.0ポイント上昇の77.9%。1戸当たりの価格は2.3%上昇の3434万円、m2単価は3.6%下落の63.4万円。5月の発売戸数は300戸を予想している。
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