新型コロナウイルス感染症拡大により、対面で行う業務の実施が困難となっている状況を鑑みて、国土交通省は5月1日、直接対面せずにテレビ会議等のITを活用して重要事項説明を行う「IT重説」を、建築士法に基づく重要事項説明として扱うと発表した。IT重説を実施する際にどのような対応をすべきか、弁護士の秋野卓生さんに解説してもらった。
新型コロナウイルス感染症対策のため、暫定的な措置として、建築士法に基づく重要事項説明について、直接対面せずにITを活用して実施することが可能となりました。「ITを活用した建築士法に基づく重要事項説明暫定運用指針」では、以下の方法を採用することが求められています。
①建築主の事前同意
建築士は、重要事項説明の方法について、建築主の意向を事前に書面やメール等の記録が残る方法にて確認し、IT重説により実施することの同意を得ます。
②建築主のIT環境の事前確認等
建築士は、①とともに、建築主側に十分な IT環境があることを確認します。また、IT重説の日時を確認します。
③重要事項説明書の事前送付
建築士は、建築主に、事前に重要事項説明書の書面を郵送にて送付します。
④IT重説の開始前の建築主の準備の確認
IT重説を実施する日時において、建築士は、IT重説の開始前に、建築主が説明を受けることができる状態にあることや、IT環境の準備ができていることを確認します。その後、建築士は適切な IT環境の下、建築主とテレビ会議等を開始します。
⑤建築主の本人確認
建築士は、IT重説の開始前に、テレビ会議等の画面上で建築主が本人であることを確認します。
⑥建築士免許証等の確認
建築士は、IT重説の開始前に、テレビ会議等の画面上で建築主に建築士免許証明書等を提示します。それにより、建築主はその資格を確認します。
⑦IT重説の実施
建築士は、テレビ会議等の画面上でIT重説を行います。
※IT環境として、その内容を十分に理解できる程度に、映像を視認でき、かつ、音声を聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境が必要です。端末、ソフト等の仕様等は問いません。
※個人情報の取り扱いについて注意する必要があります。
工務店業界では、設計社員のテレワークを実施している会社も多く、業務では非対面を徹底していながら、建築士法の重要事項説明は対面で実施することを命じていた会社も多かったため、上記の国土交通省の通知は、業界にとって非常にありがたい通知です。
IT重説を実施する際に施主と取り交わす同意書の書式を作成しましたので、ご参考いただければと思います。
<参考URL>
■ 国土交通省 IT重説に関する暫定措置の報道発表概要
※秋野さん推奨の「IT重説に関する同意書」の書式例は以下からダウンロードできます。
匠総合法律事務所代表社員弁護士として、住宅・建築・土木・設計・不動産に関する紛争処理に多く関与。2018年度より慶應義塾大学法学部教員に就任(担当科目:法学演習(民法))。管理建築士講習テキストの建築士法・その他関係法令に関する科目等の執筆をするなど、多くの執筆・著書を手掛ける。一般社団法人日本建築士事務所協会連合会理事・法律顧問弁護士。一般社団法人住宅生産団体連合会消費者制度部会コンサルタント。
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