東京都は5月5日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の5月31日までの延長を受けた今後の方針を発表した。4月に成立した補正予算を活用した、民間金融機関で利用できる上限1億円の中小企業向け実質無利子融資の受付を5月1日から開始。また都政運営の特別体制として、中央区の築地市場跡地など再開発事業や都営住宅の建て替えなどは優先度が低いとして休止となる。
中小企業向けの上限1億円の実質無利子融資は3年間の利子補給を都と国で行う他、信用保証料について企業負担がないよう都が全額補助する。4月成立の補正予算で1964億円を計上していた。都では1年間の融資額として1.5兆円を予定しており、1964億円は6月までの必要額の見込みで、今後も財政措置を行っていく方針。
5月7日には449億円の補正予算の専決処分を小池百合子知事が実施する。うち337億円は失職・休業者が最大80万円を無利子・保証人なしで借りられる緊急小口・総合支援資金のためのもの。国が負担するもので、都は国から2019年度末に30億円ほどの資金を受け取っているが、4月末から1000件以上の申し込みがあり、場合によっては立て替えられるよう財源を確保するため計上された。
特定警戒都道府県のひとつとなっており、住宅展示場などへの休業要請は継続する。4月16日~5月6日まで休業協力の中小企業に50万円もしくは100万円の感染拡大防止協力金を支払うことにしているが、5月7日以降休業の場合も協力金をさらに同額を支払う。休業要請施設の対象の変更については、緊急事態宣言や特定警戒都道府県についての変更もあり得る5月14日の国の判断などを見て対応する。補正予算案を6月に予定される2020年第2回都議会定例会に提出し協力金の財源を手当てする。都では5月5日付で個人や企業・個人事業主向けの支援情報を提供する「東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ」を開設した。3つの項目に回答し、個々のニーズに合った支援情報を表示。都だけでなく国の支援情報も合わせて検索できる。
当面の都政運営は特別体制とし、医療や中小企業・個人事業主支援など新型コロナ対策を優先するために、他の事業の休止や縮小などを実施。築地市場跡地の再開発手続き、区画整理や市街地再開発など都市開発関連事業や、都営住宅の建て替えなどの施設整備または修繕計画などは、優先度が低いとして未着手、未発注の他に一時停止が可能な事業は原則延期または中止とする。都によると特別体制は当面の間としており、事業再開については状況を見て個別に判断するとしている。
小池知事は5月5日の記者会見で「外出自粛、休業のもう一段の協力をお願いしたい。感染症、経済、危機管理の専門家の意見を聞き、出口のためのロードマップを近く策定したい」と語った。
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