住設機器の納期遅延などコロナショックに見舞われる工務店に向け、対応策などを発信し続ける弁護士の秋野卓生さんは、「顧客対応など今すぐにできること」と同時に、「先を見据えた対応も行うべきだ」と警鐘を鳴らす。新規受注の難しさが予想される環境で、「地域工務店は『いつ潰れるかわからない』と消費者から冷めた目で見られる」と指摘、「状況が厳しい今このタイミングだからこそ、地域工務店がSDGsに基づく持続可能な存在であることを宣言する必要がある」と秋野さんは説く。
「SDGs」というキーワードに正面から向き合う工務店が多くなりました。 多くの工務店の自社サイトに「当社のSDGsへの取り組み」を紹介するページがあります。
「持続可能な開発目標(SDGs)」とは、国連に加盟するすべての国が、2030年までに、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動など、持続可能な開発のための諸目標を達成する努力目標です。
SDGsの3番目の目標「すべての人に健康と福祉を」の中のターゲットとして「2030年までに、エイズ、結核、マラリアおよび顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに、肝炎、水系感染症およびその他の感染症に対処する」とあります。
今回の新型コロナウイルス感染症拡大を受け、各工務店においても、完成見学会の会場受付でアルコール消毒薬を準備したり、建築現場で職人のマスク着用を義務づけたりと、感染症拡大防止措置を講じている工務店が大多数であると思います。 こういった取り組みをしている工務店は、自社のホームページ「SDGsへの取り組み」に、SDGsの3番目の目標「すべての人に健康と福祉を」のアイコンを掲載し、一生懸命取り組んでいる新型コロナウイルス感染症拡大防止策への取り組みを紹介していただきたいと思います。
目の前の集客よりサステナブルな企業力をアピール
新築主体の工務店が、昨年4月の消費税増税の経過措置期間終了や、9・10月の台風災害への対応などで新規受注が伸び悩んでいたところに、今回の新型コロナウイルス感染症問題の発生による消費マインドの低下という事態が生じてしまいました。
消費マインドの低下が起きている今、目の前のイベントが大切なのではなく、地域密着型工務店が最も持続可能な存在であることを宣言することが大切であると考えています。
今、改めて消費者・地域社会は「持続可能な工務店」であることを求めているはずです。この消費者・地域社会の期待に対してSDGsへの取り組みをアピールし、地域密着型工務店として力強く生き抜く姿勢をアピールすることが重要な視点ではないか、と思います。
匠総合法律事務所代表社員弁護士として、住宅・建築・土木・設計・不動産に関する紛争処理に多く関与。2018年度より慶應義塾大学法学部教員に就任(担当科目:法学演習(民法))。管理建築士講習テキストの建築士法・その他関係法令に関する科目等の執筆をするなど、多くの執筆・著書を手掛ける。一般社団法人日本建築士事務所協会連合会理事・法律顧問弁護士。一般社団法人住宅生産団体連合会消費者制度部会コンサルタント。
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