トヨタ自動車(愛知県豊田市)とNTT(東京都千代田区)は3月24日、業務資本提携を行い、スマートシティへの取り組みを共に進めることを発表した。相互に2000億円ずつを出資。移動手段とICTを組み合わせた未来のまちづくりに挑む。
相互の2000億円の出資により、トヨタがNTT株の約2.07%、NTTはトヨタ株の約0.9%を取得する。取得日は4月9日。ICTを自動車などの移動手段や住宅、住民サービスなど様々なものに結び付け利便性を高める「スマートシティプラットフォーム」を構築し、先進的なまちづくりを行う。先行ケースとして、トヨタが静岡県裾野市で自動運転車の活用など先進的なまちづくりを行う「Woven City(ウーブン・シティ)」や東京都港区のJR品川駅周辺のNTT街区でプラットフォームを実装し、その後に他都市での展開を図っていく。
3月24日に行われた記者会見でトヨタの豊田章男社長は「車が単体で活動する時代ではなく、社会全体やまち全体とつながる時代に入っている」と説明。アプリやOSで機能を拡張するスマートフォンのように、車というハードに対しソフトウェアをアップデートしていくという考え方を示し、「車や家が筋肉や骨だとしたら、通信は血管でありNTTは大動脈。まちという社会システムにつながった車を通じ、移動手段に関わるあらゆるサービスを提供するモビリティ・カンパニーに当社はなる」と提携の意義を強調した。トヨタはNTTと競合するKDDI株を12.82%所有する2番目の大株主だが、「5Gや自動運転の時代になり、通信でも競争するところと協調するところがある。NTTと組むが、オープンにいろいろな企業や人と組みたい」と述べた。
NTTの澤田純社長も「オープンマインドで様々な企業と組みたい」と説明。「トヨタはモビリティにおける世界一の企業。ICTを活用したコネクテッドカーはスマートシティの重要な要素だ」と提携の意義を強調した。また、同じくスマートシティに注力する米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に対しては「対抗意識はある。私たちも幅広く世界に通用するものを出していきたい」と述べた。
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