東日本大震災の被害を受けた福島県いわき市の沿岸部で、地域のネットメディアや設計事務所などが連携してつくる「中之作プロジェクト」が発足。江名・中之作地区を中心に建物修復・保存を行い、港町に活気を取り戻そうと活動している。このほど、築200年の民家の改修事業をスタートした。
中之作漁港に面して建つ商家で、解体の危機にあったものを所有者から譲り受けた。母屋を多目的空間に改修し、今後の活動の拠点として再利用を図る考え。現在、実測調査に入っている。
同プロジェクトによると、江名・中之作地区には、津波・地震を受けながら残っている古民家が多数。だが、震災復旧の解体助成により、まだ使える建物にも「解体撤去」の張り紙が貼られている。「このままでは美しい港町がなくなってしまう」という危機感から、建物の修復や維持管理、再利用にかかる相談窓口を設置して、7月から保存活動を推進してきた。
独特の「塗装文化」が発展し、パステルカラーの木造建物が建ち並ぶ港町の景観は、それ自体が魅力的な資源だとプロジェクト事務局の豊田善幸さん。「壊さないことで得られるものの可能性を地域で共有し、少しでも町が元気になることを目指す」とし、まち歩きやサイクリングなどのイベントも随時開催していく方針だ。
現在、新たに生まれ変わる民家の名称とプロジェクトの愛称を広く募集中。「○○館」「中之作○○プロジェクト」といったイメージで、活動の趣旨をわかりやすく表しつつ、深い意味を持った名前を考えたいとしている。
また、活動メンバーも募集中。正会員は入会費1000円・会費5000円(1年間)、賛助会員は入会費5000円・会費2万円(1年間)。問い合わせは事務局の豊田さん(豊田設計事務所、福島県いわき市TEL:0246・38・4848)まで。
詳細はホームページから。
※写真は震災前の江名地区
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