第2 未完成のまま引き渡しをせざるを得ないケース
支払確認書を交わすことの重要性
建物はほぼ完成したが、IHクッキングヒーターなどの一部の住宅設備機器の商材がどうしても入荷できないことから、やむなく未完成のまま引き渡しをするケースも発生してくる可能性があります。国土交通省の要請により、完了検査は実施されることとなりますが、一部未完成部分が残る状況下、建築主から請負代金最終金の全額入金が得られないという法律相談もあります。
確かに、完成の定義は「最終の工程を一応終了した」こととするのが判例であり、一部未完成部分が残ると、建築主は、最終代金の支払いを拒むケースが発生することも避けられません。この点については、請負契約約款に部分引き渡しに相当する契約約款が存する場合には、「部分引き渡しを実施し、未完成部分に相当する請負代金を除き、全額を入金してもらう」ことをアドバイスするケースもあります。
この「一部未払い金を残して引き渡しをする」場合には、必ず未払い金についての支払いを未納の住宅設備機器の納品と引き換えに行うことを約束する「支払確認書」を交わしていただきたいと思います。
※「支払確認書」の書式を作成しましたので、ご参考いだたきますようお願いいたします。
ちなみに、私自身は、できれば、事情を説明して請負代金全額の入金をお願いしてはどうかと考えています。というのも、トイレがない生活、キッチンや食洗機が使えない生活を施主も強いられることから被害感情が生まれます。例えば、100万円だけ未入金で残していたとしても、この未入金分を支払いたくない、というクレームが出てくる可能性が否定できず、回収困難な事態が生じることが予測されるからです。
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