政府は3月5日、第36回未来投資会議を開催。安倍晋三首相の他、民間からは中西宏明・日本経済団体連合会会長らが出席した。建材・住宅設備の納期遅れでも問題となっている、新型コロナウイルスによるサプライチェーンの問題や、中小企業の生産性向上などが話し合われた。
サプライチェーンでは部品など中間財輸入に占める中国からの割合は、日本は2017年で21.1%。米国の16.3%、カナダ9.2%などと比較しても高くなっている。会議では特定の国への依存度が高い製品の中で、付加価値の高い製品の生産拠点の国内回帰が図れないか、もしくは東南アジア諸国などへ拠点分散を行えないかを話し合った。
中小企業問題では、大企業との関係が主に取り上げられた。業界団体ベースでこれまでは取引適正化への行動計画が策定されているが、個社の取り組みが埋没しがちな課題がある。このため、新たに個社による取り組みを促す仕組み作りを検討する。人件費の上昇などが進む中、下請け事業者が大企業に取引対価の改善を申し入れしにくいこともあり、関係省庁が連携し、商慣行の改善に取り組むことも話し合われた。生産性の向上については大企業と直接の取引がある1次下請けは大企業の協力を受けやすいが、2次下請け以下への働きからが弱いことから、1次下請けを通じた波及を図っていく。
西村康稔・経済再生担当相は終了後の記者会見で、梶山弘志・経済産業相と協力し、産業界と大企業と中小企業の連携へ、会議を立ち上げる方針を説明した。大企業や中小企業の他、関係省庁も集まり課題解決を図る方針で、「人件費が上がり苦労している中小企業にとっても、大企業のサプライチェーン構築のうえでも両者の協力は大事だ」と述べた。また、「様々な分野のオンライン化を進めたい」とし、テレワークの他、行政手続きのオンライン化などにも意欲を見せた。
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