工務店緊急アンケート調査
事態長期化による経営への影響懸念
引き渡しの遅れによる資金繰り悪化など
工務店に対する緊急アンケート調査の結果によると、入手しにくくなっている設備機器・建材は、トイレ、キッチン、バス、食洗機、内装建具、金物、断熱ブラインドなど広範に及ぶ。工務店経営者の一人は「(部品供給など)あらためて中国に頼っている現状を思い知らされた」と話す。
新型コロナウイルス感染拡大で設備機器・建材が入手しにくくなっていることの具体的な影響については、63%が「工期の延長」と回答。次いで多いのは「着工の遅れ」の24%。新規受注を控えているとの回答が13%、施工現場がストップしているとの回答も9%あり、状況が深刻化し始めていることをうかがわせる。
アンケートに回答した工務店経営者からも「引き渡しの遅延による資金繰りの悪化」や「施主のつなぎローンの金利負担の増加」、「施主からのクレーム対応」などを懸念する声があがった。そのほかにも「工期の大幅な遅れが売り上げの減少につながり、財務体質のぜい弱な零細工務店の倒産を引き起こすのではないか」との見方もあった。
3月末は決算期に当たる企業も多いことから、引き渡しの遅れによって決算内容が悪化することを危ぶむ声も。また、事態が長引いた場合に、補助金を受けて行う工事への影響を心配する声もあった。
計画の立て直し迫られる
こうした状況の中で、各工務店は顧客対応や、それぞれのスケジュールの組み直し、事業計画の立て直しなどを迫られている。
特に、顧客から急ぎの依頼も多い水まわりの交換などをメインとする小規模リフォーム工事などは影響が大きく、リフォーム専業会社の経営者は「トイレやキッチンなど水まわりの設備を必要とする新たな受注については、ひとまずストップして、代替製品を含めて対応を協議中」とする。
ただ、地方の建材・流通店の経営幹部の一人は「どこか1社の供給が止まるのであれば代替メーカーを紹介もできる。だが今回のように供給困難な部材が全メーカーで重複していると対策を取りにくい。代替在庫はホームセンターや問屋さんぐらいだろうが、とても全体の供給不足を賄えるレベルではない」と事態の深刻さを指摘する。
複数の業界関係者によると、現時点で確実に欠品となっているのは、水まわり品が中心で、それ以外についてメーカー各社は「3月中旬ごろまで供給可能で、影響が出るのはそれ以降」との見通しを示しており、事態が改善に向かわなければ、さらに市場は混乱する恐れもあるという。
現場での対応に遅れ
一方で、社内的な対応を見ると、アルコール消毒の徹底 51%、手洗い・うがいの徹底 38%、出張規制20%、大規模イベントへの参加規制20%、マスクの配布(会社で購入)14%、マスクの着用徹底13%となっている。感染拡大の影響によってモデルハウス、ショールームへの入場規制措置や在宅勤務を行っている会社はわずかだった。また、施工現場については、対策は行っていないが77%で、一律的な対応が難しい建築業の実態が浮き彫りとなった。
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