国土交通省と経済産業省は、マンションや庁舎など、建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(指針)を、今年度内を目標にとりまとめる。2月18日の合同会議においてガイドライン原案を提示した。
両省は2019年の台風19号による神奈川県川崎市のマンションでの電気設備浸水による停電被害などを受けて、ガイドラインの策定作業を進めてきた。ガイドライン原案では、マンション以外にもオフィスビル、庁舎、病院、商業施設など幅広く対象建築物を設定。高い場所など浸水リスクの少ない場所に電気設備を置くのが望ましいとした。
高い場所などの設置が困難な場合は、出入口からの浸水を防ぐなどの措置として、止水板や土のうなどを普段から配備し、非常時にすみやかに使えるように準備をしておく。換気口など開口部も想定浸水深より高い位置に設置。排水管を通じて下水道から逆流が生じないよう、雨水貯留槽から下水道への排水は一度地表面近くまで排水配管を立ち上げて、排水することも重要とした。さらに、雨水貯留槽から水があふれるのを防止するため、雨水管に分岐線を設け、満杯になる前に敷地外に雨水を流す措置も提示した。
万が一建築物内に浸水が発生した場合に備え、電気設備の設置箇所を囲むような区画を作り、その出入口に水密扉を設置したり、電源引き込み口や配管の貫通部などの防水・止水処理も重要とした。浸水した場合の取り組みとしては、仮復旧のための対策の検討も重視。排水作業と受変電設備の清掃・点検で2~3日、受変電設備の仮復旧から送電まではさらに2~4日程度とみられており、関係者への連絡体制図や電気設備の関係図面のあらかじめの用意も進めておくべきとしている。
国交省と経産省では3月に再度会合を開き、とりまとめへ議論。今年度内のガイドラインとりまとめを目指す。
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