国土交通省は2月18日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会の第50回会合を開催した。賃貸住宅に関する現状報告が臨時委員からなされ、オーナーから業者が借り上げて転貸を行うサブリースなど問題点の話し合いが行われた。
日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会主任研究員の早野木の美・臨時委員は、消費者問題の視点から住宅の問題点を説明。2018年の消費者白書によると、20~24歳、25~29歳は男女とも賃貸アパートが消費者相談の1位になっていることを語った。敷金の返還や原状回復に関するトラブルが多い。消費者ホットラインに寄せられている、勧誘や家賃減額などのサブリースに関する相談も紹介された。
日本賃貸住宅管理協会会長の末永照雄・臨時委員は、野村総合研究所の調査で2013年に約820万戸、2033年には2166万戸が見込まれる空き家問題について「サブリース事業者がリスクをとることで解決の余地がある」と述べた。駅から1km圏内で簡単な手入れで活用できる空き家が約48万戸あり、こういった物件の活用を事業者が進められる余地があることを説明。自身が社長を務めるアミックス(東京都中央区)が手がけた、1971年竣工の旧社宅団地を賃貸住宅にリノベーションした埼玉県草加市の「ハラッパ団地・草加」を紹介した。
早野氏はサブリース問題について、「賃貸住宅オーナーは基本的には消費者ではなく事業者になる。トラブル解決には簡易裁判所で行われる民事調停の活用も手段としては有効」と説明した。末永氏は「今後は力のあるオーナーへの物件の集約による大規模化や、投資と経営の分離が進み、オーナーは投資家としての立場になっていくだろう」と述べ、時代の変化への対応の重要性も語った。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。