LIXIL(東京都江東区)は2月14日、外張り断熱を用いた「スーパーウォール(SW)工法リフォーム」の初の施工例となる「福島実証棟」を報道陣向けに公開した。中古住宅にZEH基準以上の外皮性能向上やその他の省エネを実施。IoTの他に耐震化などレジリエンスの要素も取り入れた。施工は田村産業(福島県田村市)。
「SW工法」はLIXIL独自の「スーパーウォールパネル」を用いた高気密・高断熱の工法で、これまで加盟工務店が新築住宅として供給してきた。新たに、パネルを外壁に取り付けるなどして改修する「SW工法リフォーム」を開発。1月から東北エリアで先行販売を実施し、2021年4月から全国販売を予定している。
今回の実証棟は、福島県三春町の築26年で延床面積124.2m2の2階建ての戸建て。パネルによる外張り断熱の他にも床や天井、窓の交換など開口部の断熱も強化。UA値は改修前の1.73/m2・Kから0.45/m2・Kとした。
さらに「Life Assist(ライフアシスト)」と呼ばれるIoTシステムを搭載。AIスピーカーに話しかけ、予定の確認や照明などの操作の他、不在時にロボット掃除機を動かす、帰宅時間に合わせ風呂の湯張りを行うといった生活利便性の向上を行える。耐震性については壁に「アラテクト」という引っ張りに強いアラミド繊維素材を使用したり、屋根を瓦から軽量の「T・ルーフ」という素材に変更するなどし、新築の耐震等級3相当にまで高めた。
今回の実証棟は田村産業が中古戸建てを買い取って施工。トータルコストは新築より2割ほど安いという。今後は特別価格で販売する代わりに、1年程度借り受けてモデルハウスとして使用する計画。田村産業の渡辺隆治・代表取締役社長は「SW加盟店の勉強にも利用したい」としている。LIXILのZEH推進事業部 ZEH推進商品開発部の笠井達也部長は、「日本の住宅のトップランナーと言えるSW工法は、今年25周年を迎えリフォームまで広がった」と述べた。今回の実証棟については「30代共稼ぎの子育て世帯を想定し、ZEHにIoTとレジリエンスの要素を組み合わせた」とした。同社の東北ZEH営業部の遠藤輝部長は、東北エリアで先行販売している「SW工法リフォーム」について「新築以上の暖かさで、快適・便利・安心を提供できる」と説明した。
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