東日本大震災は人々の家づくりの価値観に大きな変化をもたらしている。なかでも大きな変化が土地選びに関する項目だ。津波被害やいまだ収束のめどが立たない福島の原発問題などにより、土地選びに対する意識がこれまで以上にシビアになっている。新建ハウジングが独自に行った生活者調査の結果を元にまとめた。
生活の基盤の大本となる土地の選択で、いま、人々は大きな岐路に立たされているようだ。
「(今回の震災で)土地の価値はいつなくなってしまうかわからないことがわかった」( 34 歳男性・茨城県)というように、大きな直接被害をもたらした東日本大震災は、間接的に土地の価値にも大きな影響を与えた。
先日発表された基準地価では、原発問題で不透明な状態が続く福島県をはじめ、津波の被害が想定される沿岸部や液状化被害の危険性がある地域での地価の下落が目立っていた。
長く地価の低迷が続くなか、震災で明ら東日本大震災から半年かになった危険に対する防衛意識が、人々を選別的な土地選びに向かわせるようになっている。
【グラフ1】は2013年3月までに注文住宅を建設する予定がある人に対し、今年6月、土地選びで重視する項目に関して新建ハウジングが独自アンケート調査を行った結果。
影響が比較的限定される津波や原発を押さえ、液状化の起こりやすさや地盤の危険性を重視する意向を持つ人が多くいた。
震災の余波がまだ残っているタイミングだということを勘案しても、家づくり、土地選びに対して、被害の直接的な原因
となった地震の発生の有無よりも高い関心を示していた。
「日本中どこにいても地震をさけて暮らす事は難しい」( 50 歳女性・京都府)というように、日本において地震の危険性はどこでもほぼ等しくある。自然現象であるため心配しても予測ができないという意識もある。
これに対し、津波や原発、液状化の問題は事前の調査である程度危険度が推定でき、場所選びである程度対策を立てることが可能。
とくに液状化の問題は、これまではこうした調査で言及されることが少なかったが、被害の大きさなどから人々の注目度が一気に高まったかたちだ。
●【2】につづく
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