東京都が音頭を取り、建築費引き下げの実証実験も兼ねて2005年に実施された戸建て住宅の定期借地権付き分譲事業「東村山市本町地区プロジェクト」。そこに参画し、全26 棟の供給を担当した相羽建設(東京都東村山市)は、第1棟のモデルハウス建設を終えて愕然とした。かかった人工は坪3人。「建築費坪50 万円が上限」という条件をクリアするには、坪2人工に抑える必要があったからだ。このままでは赤字が見えていた。
同社は注文住宅で坪平均80 万円の受注をとってきた工務店。平均的な坪人工は6人だ。そのためプロジェクトの応募にあたり、建築家の野沢正光さんと半田雅俊さんに依頼して坪50 万円の条件を満たせる専用住宅「木造ドミノ」を開発した。
これにより、坪人工を従来の半分に減らすことはできた。が、目標達成にはさらに手間を省く必要がある。
モデルハウス建設を終えたあと、相羽建設の現場監督、職方、そして設計者2人が集まり、コストダウンのアイデアを出し、実現可能な手法に落とし込んでいく作業が始まった。
結果、最終的に坪1・9人工(延べ40 坪で76 人工)という合理化施工に到達した。
「26 棟の建売をまとめてつくったので、スケールメリットを発揮できたことも大きい。が、住宅現場にまだ効率化の余地が多くあることもわかった」と協同設計者のひとり、半田建築設計事務所(東京都板橋区)の半田雅俊さんはいう。
都内で総額2000万円の価格を実現したことで、完成した26 棟は即日完売。
1棟の利益率を計画より引き上げることにも成功し、職方も現場の回転が早まったことで施工棟数が増え、年間収入が増えた。
「それまで、コスト削減といえば職方に『一律10 %下げろ』で終わっていた。だが、26 棟では職方が持たない。設計納
まりや工程を見直す必要に、本格的に迫られた」と半田さん。
「安い住宅をつくっていた工務店がさらに質を落として供給することは簡単。問題は質を落とさずいかに単価を圧縮し供
給できるか。これを実現する最短の道は施工現場を見直すこと」と話す。
プロジェクトで見えてきた
今すぐできる施工現場の改善策・「 小一時間作業」を排除する
・ 大断面材のコストを惜しまない
・ 部材の搬入・配置を最適化する
・ 手待ちを減らすおさまり
・ 構造仕様を標準化する
●詳細は新建ハウジング2011年10月10日号で紹介しています。
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