『新建ハウジング』1月30日号
地域工務店がつくるエコタウン
県産材75%以上使用し、年間暖房負荷48kWh/m2以下などの基準をクリアするエコハウスによる分譲プロジェクトが、国の「SDGs未来都市」に選定されている山形県飯豊町(いいでまち)で進む。同町が景観や環境に配慮した“循環型まちづくり”を行うとして、23区画を造成。住宅の設計・施工を担うのは地元の工務店9社だ。建築家で東北芸術工科大学建築・環境デザイン学科長の竹内昌義さんの監修によって策定された性能やデザインの基準に基づいて建築する。昨年の11月から分譲を開始し、3区画が契約済みで、今後、工事が本格化していく。
SDGs未来都市の分譲プロジェクト(山形県飯豊町)
2haの町有地に23区画を造成した同分譲地「エコタウン椿」は、21区画が住宅用地で1区画の面積は330m2前後。土地の価格は、1坪当たり4万3000円となる。住宅用地以外の2区画のうち1区画には、町と工務店各社が共同で利用するモデルハウスを建て、購入検討者のほか同町への移住希望者なども宿泊体験できる施設として運用する計画。モデルハウスの設計は、竹内さんが共同代表を務める、みかんぐみ(神奈川県横浜市)が手掛けた。残りの1区画には消防署の施設が移転してくるという。
「飯豊型エコハウス基準」策定
県産材75%以上、UA値0.28以下
宅地購入者は、町から土地を購入し、町が認定する指定登録工務店9社の中から住宅新築の依頼先を選び、県産材の利用率や断熱・気密性能について定めた「飯豊型エコハウス基準」を満たす住宅を建てる。同基準は、これまで山形市や岩手県紫波町などでエコタウンプロジェクトに携わってきた竹内さんが監修して策定。UA値0.28W/m2K・C値 0.8cm2/m2以下、年間暖房負荷 48kWh/m2以下、構造材に県産材を75%以上利用といった基準が設けられている。
また、同町の伝統的な「屋敷林」の景観を生かし、それを保持することをコンセプトとするデザインガイドラインも策定。外壁に県産材を15%以上利用しながら、色は白や茶を基調とする、隣地境界に柵を設けない、などのルールを定めている。
竹内さんは「地域を活性化するために、経済活動を地域内で循環させる、キャッシュアウト(お金の域外流失)しない仕組みづくりが必要。地場工務店による地産地消の家づくり、まちづくりを通じて“小さな経済圏”を生み出せれば、エリア内の経済が活発化する」と語る。
「屋敷林」のある町並みを継承
域内経済循環や定住人口増加も期待
飯豊町は、地域活性化策に位置づけ、事業費2億5000万円を投じ、まちづくり事業として「エコタウン椿」の分譲プロジェクトを進める。分譲事業に力を入れるのは・・・・
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