東京都は1月24日、2020年度予算案を発表した。住宅関連では家庭における省エネに注力。開口部の断熱改修や太陽熱・地中熱利用機器への補助などを新規事業として採用。空き家対策では協力する民間へ補助も新たに行う。
2020年度予算の一般会計は7兆3540億円で、過去最大だった今年度より1.4%減。新規事業は9件増で過去最多の420件。住宅では環境局が管轄する環境・省エネに関する事業が多い。既存住宅の省エネ化のための「家庭における熱の有効利用促進事業」が新規事業として12億4200万円を計上した。これまではより高断熱の窓の交換が補助対象になっていたが、窓と同時に行う条件で玄関ドアも対象とする。さらに太陽熱利用機器と地中熱利用機器も対象に加えた。費用の上限は設定されるが、補助率は窓とドアが6分の1、太陽熱・地中熱利用機器は2分の1となる予定。
「自家消費プラン」と称し、太陽光発電システムのある家庭の蓄電池導入に対して2分の1の補助も行う。45億4200万円を計上し、7320台の規模を見込む。今年度は燃料電池やビークル・トゥ・ホームシステム(V2H)への補助と同じくくりの事業にしていたが、太陽光発電の自家消費の拡大を狙い、蓄電池を単独で切り分けた。
今年度も行っている、現行省エネ基準より3割一次エネルギー消費量を削減する「東京ゼロエミ住宅」の戸建て1棟当たり70万円の補助については規模を拡大。戸建ては今年度の1500棟から400棟増の1900棟を見込んでいる。1戸当たり30万円の集合住宅は今年度と同じ1170戸だが、戸建て棟数の増加などで予算額は今年度比20.0%増の21億7100万円。
また住宅産業への波及効果が期待できる、省エネ性能の高いエアコン、給湯器、冷蔵庫への買い替えに対し、商品券とLED割引券を付与する「東京ゼロエミポイント」も規模を拡大する。エアコンは44.6%増の20万1000台、給湯器は44.1%増の4万9000台、冷蔵庫は44.0%増の12万1000台を見込み、予算額は37.1%増の61億4900万円。これらの施策を管轄する環境局の予算は42.3%増の593億2400万円となった。
住宅政策本部の事業では空き家施策推進事業は58.7%増の4億4600万円。新規事業として「民間空き家対策東京モデル支援事業」として1億円を計上。これまで空き家対策は区市町村が主体に行うケースが多かったが、民間の協力を促す。空き家を住宅確保要配慮者向けのセーフティネット住宅として登録するための経費や、そもそも空き家を発生させないための終活・相続セミナーなどへの補助が見込まれる。空き家対策にも関連する既存住宅流通の活性化は6.6%減の8400万円となっている。
小池百合子知事は1月24日の記者会見で「直面する課題に果敢に挑む予算案とした」と説明。環境対策については「大消費地・東京の責務として脱炭素の取り組みを率先してやっていく」と意欲を見せた。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。