東京都は1月24日、今年度第3回住宅政策審議会を開催した。新会長に東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授の浅見泰司氏を選出。2016~25年度までの住宅政策の基本方針「東京都住宅マスタープラン」の改定を視野に、2021年夏をめどに新たな答申を出す予定が示された。また東京の住宅を取り巻く状況として、空き家が全体の約1割を占める他、高齢化の影響などの現状報告を行った。
都内における住宅ストックは2018年時点で約766.7万戸。総世帯数が685.6万戸で空き家率は10.6%。持ち家率は45.0%で全国の61.2%より低い。戸建ては26.8%、共同住宅が71.2%。全国平均はそれぞれ53.6%、43.6%で都内は戸建ての割合が低い。23区別空家き家数は世田谷区が約5万戸で最多。大田区が約4.8万戸、足立区約4万戸と続く。空き家率は豊島区が13.3%で、港区12.4%、中央区11.9%と都心部が高くなった。多摩地域で空き家数は八王子市の約3.5万戸、空き家率は国立市の14.8%がワースト。
2018年の都内新設住宅着工戸数は対前年比3.7%減の14万4813戸。内訳は貸家が約半分の7万3572戸で、持ち家は1万5916戸、戸建て分譲住宅は1万9512戸にとどまっている。既存住宅の成約件数は2万3052件だが、マンションが1万9087件に対し戸建ては3965件で、長期的に見るとマンションのみが増加傾向にある。
人口・世帯では高齢化が進み、今年ベースの推計で都内全世帯の25.1%は単身・無職世帯とされている。2025年には高齢化率が23.0%に達する他、人口が1417万人でピークを迎え、その後は減少するとみられている。
空き家や高齢者が増加する背景もあり、出席した委員から、空き家を住宅確保要配慮者向けのセーフティネット住宅への転用を進める、災害対策や省エネ化の推進が必要といった意見が出された。都の住宅政策本部では今後、新たな答申に向けて、細かな課題などを話し合う企画部会も開催する。住宅マスタープランは審議会の答申を受けて5年ごとに改定しており、前回は2016年11月の答申を受けて改定した。審議会は新たな答申は2021年夏ごろに行う方針としている。
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