職人不足や資材価格高騰への対応策に
徳島県西部を商圏として新築住宅を年間約20棟手がける松島組(吉野川市、松島清照社長)は、住宅用のベタ基礎工事を大幅に効率化する独自のプレキャスト(PC)コンクリート部材を用いた工法を開発した。通常の「現場打ち」と比べて工期を3分の1に短縮、コストも15%削減できるという。同社では、基礎工事の職人不足による工期遅延や資材価格高騰による粗利の低下などへの改善策として、全国の工務店に向けた供給も視野に入れる。
工期3分の1、コスト15%削減
独自開発したPC部材は、ベタ基礎コンクリートのベース・立ち上がりを工場で一体成形するもの。重ね継ぎ手用に鉄筋長さ550㎜がタテ・ヨコ200㎜間隔で突き出す。形状はL型・I型・T型の3種類。それぞれ底面に根入れ(深さ150㎜厚)を設けた外周用と、底面が平坦な内部用の2種類があり、合計6タイプの部材で構成する。
部材サイズは「10tトラックで積載できる」「ラフタークレーンで作業半径12mまで吊り上げ運搬できる」などを基準に、全幅2m以内、重さ1.4t以内にした。
例えば、延べ床面積30坪・総2階建ての住宅であれば、PC部材をL型4つ、I型2つ、T型2つと全8部材が使える。トラックで現場に持ち込んだPC部材を配置するのにかかる時間は1部材約10分。住宅1棟分でも1~2時間で完了する。
これにより現場の鉄筋配筋を半日で終え、基礎配筋検査ができれば、それ以降は、型枠工事を1日、コンクリート打設を1日で進められ、捨てコン・墨出しからコンクリート打設完了まで1棟にかかる作業日数は3~4日で済む。一般的な現場打ちが1週間~10日間かかるのに比べ、工期を3分の1近くまで短縮できる。コストも部材製造を含め全体で15%削減できるという。
ゼネコンでの経験生かし開発
同工法を開発した3代目となる同社社長の松島清照さんは、10代のころ、地場ゼネコンで5年間修業した後、24歳で2代目の実父が経営していた同社に入り、39歳で事業を引き継いだ。社長就任後は、公共事業縮小のあおりを受けて厳しさを増していた公共工事主体の経営から、住宅の新築・リフォームなど民間建築を主体とする現在の経営にシフトし、会社を再生した。
ベタ基礎のプレキャスト化は、職人不足と資材価格の高騰に苦しむ中で、2017年冬に着想し、開発を進めた。「これまで多くの建設事業者が試み、失敗してきた難しい分野であることは認識していた」という松島さんだが、地場ゼネコンでの修業時代にRC造の鉄筋配筋やコンクリート打設を手掛けた経験と、当時習得した重機の操作スキル(運転免許取得)を駆使して試作を繰り返し、改良を重ねた。
開発のポイントになったのは・・・・
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