国土交通省は1月16日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会勉強会の第2回会合を開催した。4人の臨時委員が意見発表を行い、住宅確保要配慮者への住宅確保にとどまらない幅広い支援や、賃貸住宅オーナーの負担軽減などが取り上げられた。
NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長の奥山千鶴子氏は、2019年の出生数が推定で86万4000人にとどまるといった少子化の背景に、三世代世帯の減少や、故郷から離れた場所での子育てを強いられるといった背景があると指摘。子育て家庭向けの住宅への取り組みとして、子どもの声や行動が制限されない住居の確保としての空き家活用、子育て・新婚家庭への優先入居の拡大、改修工事や安全な建具使用による事故防止、ひとり親家庭や経済的困難家庭への支援を訴えた。
日本社会事業大学専門職大学院教授の井上由起子氏は、高齢者住宅は安否確認や生活支援に関する費用を入居者が負担をする必要があることから、費用が高くなりがちであることを指摘。管理人や公的な人材による巡回見守りなど以外に、地域に高齢者の居場所となるような拠点も整備し、地域見守りを強化する必要性についても述べた。
NPO法人抱樸(ほうぼく)理事長の奥田知志氏は、住宅確保要配慮者の支援は、単なる住居確保のみでなく、経済的困難に複合的な要因があることから包括的な支援が必要と指摘。確保した住まいに入居後の孤立やトラブルも多いことから、家賃保証会社と提携し、家賃保証会社から家賃滞納などのトラブルがあった際に抱樸がすぐに入居者支援を行うといった取り組みを紹介した。
全国賃貸住宅経営者協会連合会会長の三好修氏は、単身高齢者の孤独死が増加する中で、亡くなった賃貸住宅入居者の遺留品を勝手に処分できず、法定相続人の存在が明らかでない場合は相続財産管理人の申し立てをし、管理する必要があるなど、賃貸住宅オーナーの負担が大きいことを指摘。遺留品の保管料や長期の空室期間の発生などの問題があるとした。
意見を聞いた他の出席者からは、「支援の多様性が必要」「子育て家庭が環境と利便性を両立させられるよう、価格面にも配慮した住宅供給も必要」といった意見が出された。
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