国土交通省と東京都は1月15日、防災まちづくりについて話し合う「災害に強い首都『東京』の形成に向けた連絡会議」の第1回会合を東京都千代田区の都道府県会館で開催した。水害対策としての高台まちづくりの推進や、無接道敷地における建て替えの促進などによる木造住宅密集地域の不燃化といった、検討の方向性が示された。
主に国交省と都の局長クラスの他、内閣府、さらにオブザーバーとして都市再生機構(UR)と不動産協会からも関係者が出席し、水害と地震対策について話し合われた。水害対策では、大きな被害が想定される東京都東部の荒川沿い7区(足立区・葛飾区・墨田区・江東区・江戸川区・板橋区・北区)で約262.3万人の人口を抱えることなどが指摘された。地震では発災時の大火災が予測される都内の木造住宅密集地域が山手線外側を中心に約1万3000ha広がっている。既存不適格物件である無接道敷地の物件の建て替えが進まない以外に、住み替えが難しい高齢者の増加なども課題であることも示された。
検討の方向性として、水害では高台まちづくりを推進。スーパー堤防整備と一体になったまちづくりなどを行っていく。スーパー堤防は土でできた緩やかな勾配のある堤防で、幅が広く、防災以外に堤防の上を利用したまちづくりを行える利点がある。地震については木造住宅密集市街地の不燃化として、無接道敷地における住宅の建て替え促進や、都営住宅あっせんやサービス付き高齢者向け住宅の供給など高齢者の受け皿づくりといった案が示された。
出席した赤羽一嘉国交相は「首都直下地震が起きれば、多くの人命が失われ、東京のみならず日本や世界にも影響が及ぶ。区画整理など不燃化・耐震化を進めるためのまちづくりの具体策へ国も協力する」と語った。小池百合子知事は25年前の1995年1月17日に地元の兵庫県を襲った阪神・淡路大震災を振り返り、神戸市長田区での火災を実際に見た経験も語りつつ「水害や地震などに対して強靭なまちづくりを進めたい。オブザーバーとしてURと不動産協会にも参加していただいているが、英知を結集して国民・都民の安全・安心を守りたい」と述べた。
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