国土交通省と中小企業庁はこのほど、建設工事における下請取引の適正化を図るために実施した2019年度「下請取引等実態調査」の結果、指導対象調査項目で不適正な取引を行っていると回答した建設業者8777業者に指導票を発送した。
建設工事を下請負人に発注したことのある建設業者(9645業者)が回答すべき調査項目について、指導対象となる28の調査項目に対し、全て適正な取引を行っていると回答した「適正回答業者率」は9.0%(868業者)となり、昨年度(6.1%)から2.9%増加した。
28の調査項目のうち適正回答率が増加したのは19項目。このうち、「下請代金の決定方法」 (98.3%) 、「契約締結時期」(98.0%)、「引渡し申出からの支払期間」 (98.2%)などの調査項目は概ね遵守されていた。また、「技能労働者の賃金水準の引き上げ状況」や「雇用する技能労働者の休暇形態」などが向上していた。
一方、「見積提示内容」(19.5%)、 「契約方法」(62.2%)、 「契約条項」(48.6%)、「赤伝処理」(72.2%)など、建設業の取引において重要な項目にも関わらず、適正回答率が低い調査項目も見受けられた。特に「知事・一般」建設業者で顕著な傾向にあり、「契約方法」は約6割が不適正な契約方法を行っていた。そのうち18.4%は「メモ又は口頭による契約」を行っていたことが分かった。
両省庁は今回の調査結果により、建設業法に基づく指導を行う必要があると認められた建設業者に対して指導票を送付し、是正措置を講じるよう指導した。さらに、調査結果に基づき、必要に応じて許可行政庁による立入検査等を実施する。また、講習会の場を設ける等し、建設業法令遵守の周知徹底を図る。
同調査は7月10日〜9月13日の期間、郵便による書面調査で実施。調査対象業者は1万4000業者、そのうち回収業者数は1万1258業者、回収率は80.4%だった。
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