建売および注文住宅を手掛ける創建(大阪市)と同グループの木の城たいせつ(北海道栗山町)は、伝統的な木組みを生かした、災害に強い住宅商品を開発した。2020年春から試行販売を開始し、同年秋から創建グループおよび全国規模で展開するネットワークとも連携して全国で販売していく。32坪で2500万円前後での提供を検討している。
商品名は「INOCHI」。日本古来の匠の技術や木の特性を生かした伝統工法に、プレカット技術を使い、高い耐久性を持ちながら坪当たり80万~100万円で提供。工期は4カ月。木の城たいせつの技術をベースにしている。耐震強度を持たせるため、壁に構造用合板を使ったモノコック構法を採用している。
創建の吉村孝文会長は「木の城たいせつの技術をベースにした住宅は、2018年の北海道胆振東部地震の時にもびくともしなかったし、2015年の北海道豪雨被害で4m浸水したときも施主の命をしっかり守り、2001年に北海道で発生した竜巻が直撃しても屋根の板金がはがれる程度で、建物そのものに狂いはなかった」と話す。「日本建築で受け継がれてきた匠の技術を全国の工務店に提供していきたい」とする。
具体的には2020年秋から研修と部材提供を行っていく。部材は、当初は北海道の栗山工場で製造していくが、北海道以外でも工場の建設を計画している。研修は、北海道の木の城たいせつで実施する予定。
建物の強度だけでなく、ダブル断熱(外断熱+充填断熱)の採用により、寒さ対策も強化。「外部温度が4℃~氷点下7℃の状態で、無暖房で3日間以上室内温度14℃~16℃を保つことを実証した」という。
停電や断水にも対応できる設備も整えている。3.6kWのソーラーパネルと5.2kWhの蓄電池を装備して電気を確保できるようにしたほか、住宅内に1日30リットルの飲料水を製造できる空気製水器を設置。空気中の水分を使って水を作る仕組みだ。
津波や洪水が起きた場合に備え、命を守る水害シェルターも設置。大人4人まで入ることができ、水に浮いて救助を待つ。通常は押し入れの中等に置き、隠れ家的に活用することもできる。
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