中古マンション再生流通事業を手がけるインテリックス(東京都渋谷区)は12月10日、東京都台東区の鶯谷で来年1月下旬に開業予定のホテル「LANDABOUT(ランダバウト)」の記者発表会・内覧会を開催した。
同社の山本卓也社長は、事業説明に先立ち、「箱だけ作ればいいのではなく、地元の方と協調してうまく集客し、集客することによって地域が活性化していくことが大事」「物理的なリノベーションではなく、地域の活性化を目的として、仕組みなどをリノベーションして発展させていきたい」と考えを語った。
同社のホテル事業として3件目となる「ランダバウト」は、第一勧業信用組合鶯谷支店の移転に伴い、その跡地を地域のために有効活用できる事業者として、同社が売却を受けて進めてきたもの。地域を“リバイタライズ”(再活性化)するプロジェクトとして位置付ける。
従来のホテルは地域の一等地に立地しながら、地域の人々にとって活用する機会の少ないものだったが、「ランダバウト」では、地域の住民と滞在客が交流し、その「土地について」(=Land about)知ってもらえるハード・ソフトの仕組みを備える。
同ホテルは、JR鶯谷駅から徒歩3分ほどの場所に立地。浅草や上野公園など人気の観光地へのアクセスが良いほか、谷根千地区(谷中・根津・千駄木)など歴史の重なりや地域文化の残る町並みも多い。名所観光の「次」を求める外国人旅客に対して、よりディープな体験を提供できることから、インバウンドと地域を結ぶ場所(Roundabout=環状交差点)としての役割を目指す。利用客の内訳はインバウンドの外国人客が7割と想定する。
今回の事業では、谷根千地区などでリノベーションによるまちづくり(設計・飲食運営・宿泊施設運営)を手がけるHAGI STUDIO(東京都台東区)をパートナーとするほか、インテリックスのホテル事業「montan HAKATA」で運営を担うベステイト(福岡市)も加わり、3社でコンセプト設計から仕込んできた。
HAGI STUDIOは、これまでの飲食運営で出会った食材生産者とのつながりを今回のホテルでも生かす。運営を担当する1階のカフェ・ダイニングバー「LANDABOUT Table」では、地域の食材を生かした料理や、季節を感じられる飲み物を提供する。また、宿泊客・観光客だけの場所となりがちなグランドレベルの空間を地域に開き、地域の魅力を発信する。ホテル全体の内装設計では、鶯谷のスナックをイメージした色使いもさりげなく加えた。
ベステイトは、7割を占める外国人旅客に対応するため、運営スタッフの外国経験を重視して人材を採用するほか、地域のコンシェルジュとなる役職「コミュニテイ・マネージャー」を常設する考え。滞在客へのディープな地域情報の提供、旅のプラン設計支援のほか、コミュニティ・マネージャー自身でも地域を案内する。その役を地域の人々に担ってもらうことも想定しているという。
同ホテルは地上15階建ての鉄骨造。客室数は169室。敷地面積は563.88m2、床面積は3497.04m2。
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