国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、川崎市)はこのほど、竹中工務店(大阪市)、中央大学(東京都八王子市)と共同で開発を進める、土砂の搬送が可能な「ぜん動ポンプ」の試験機を完成させた。掘削物搬送装置の効率向上が可能となり、建設現場の生産性向上と働き方改革につながるもの。
「ぜん動ポンプ」は、腸のぜん動運動を機械的に模倣したもので、加圧機構が経路上に分散して配置され、対象物を外部から遮断された状態で搬送する。今回の試験機では、土砂の粒子の性状・含水比・搬送特性の関係を分析し、ゴムチューブの形状の工夫や含水比を調整できる機構を設けることで、土砂の搬送が可能となった。将来的には、大深度・海底や月面などの極限環境での掘削・運搬作業への適用が期待される。土砂の搬送が可能な「ぜん動ポンプ」は世界初という。
3者は今後、試運転を経て、搬送効率に対するスケール効果の検証や制御の最適化などの技術課題を解決するための実験を来年6月末まで実施し、ポンプ内部のセンシングとそれに連動した自動制御システムの開発による更なる搬送効率の向上を目指す。試験機の設計・製作は、中央大学発ベンチャー企業であるソラリス(東京都中央区)が実施し、将来の事業化を予定する。
同試験機は、12月18日〜21日に東京ビッグサイトで開催される「2019国際ロボット展」の中央大学ブースで展示される予定。
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