『新建ハウジング』12月10日号
まちとつながるエコハウス 性能と意匠を両立、高価格帯受注の拠点に
建築家の伊礼智さんが設計を手掛け、温熱環境などパッシブデザインについて住まいと環境社代表の野池政宏さんが監修した、丸正渡邊工務所(山梨県甲府市)のモデルハウスが同市内に完成し、11月29日、工務店や設計事務所の関係者を対象とする見学会などが行われた。
「性能と意匠の両立」をコンセプトに設計された同モデルハウスは、室内と庭の緑がゆるやかにつながる居心地の良さと、冷房・暖房をそれぞれエアコン1台(小屋裏・床下)で賄うことができるUA値0.37W/m2Kの高い断熱性を兼ね備える。同社は今後、このモデルハウスを拠点に「意匠も性能も優れる住宅」を自社の家づくりの特徴として打ち出し、高価格帯(坪100万円超)の受注を伸ばしていく方針だ。
伊礼さんと野池さんがコラボ
丸正渡邊工務所の新モデルハウス
住宅街の道路沿いの約326m2の敷地に建つモデルハウスは、木造2階建て・延べ床面積119m2(36坪)。野池さんからパッシブデザインを学び、一方で以前から伊礼さんが設計する住宅に強い憧れを持っていた同社社長の渡邊正博さんの思いが実り、伊礼さんと野池さんのコラボが実現した。伊礼さんは、日射取得・遮蔽などパッシブデザインに関する野池さんからのアドバイスを取り入れながら、設計を仕上げた。植栽・造園は造園家の荻野寿也さんが手掛け、見学会当日は、芝張り作業など荻野さんの指導によって行われていた造園のワークショップの様子も公開された。
モデルハウスの外壁は、「伊礼色」と呼ばれる落ち着きのある色の「そとん壁」(シラス塗り壁)の仕上げで、切妻の屋根は、銀黒色のガルバリウム鋼板による平葺き。ダイニングとリビングは2枚引込戸の木製サッシを開けると、深い軒と広い木製デッキを介して庭の豊かな緑とつながる。
性能面をみると、耐震等級3(許容応力度計算)で、UA値は0.37W/m2K、Q値は1.27W/m2K。断熱は、発泡ウレタン吹付で屋根240mm厚、壁120mm厚、フェノールフォーム断熱材で基礎立ち上り66mm厚、土間25mm厚を施工した。
見学会で、渡邊さんとともに案内役を務めた伊礼さんは「道路に面する西側のウイング(駐車場)の軸線(塀)を庭側に引き込みながら、その周りに緑を配すことで、プライバシーを確保しつつも、まちと庭、庭と家がゆるやかにつながるような構成にし “まちとつながるエコハウス”を目指した」など、設計のコンセプトやポイントについて説明していた。
正渡邊工務所(山梨県甲府市)のモデルハウス見学会は、野池政宏さんが代表理事を務める一般社団法人のForward to 1985 energy lifeが主催し、見学会にあわせて、性能と意匠を両立する家づくりの在り方や、それを柱に据えた地域工務店の経営戦略を考える「事業化セミナー」も開催した。見学会の後に同市内で開いたセミナーには、全国の工務店や設計事務所の関係者ら約120人が参加した。
セミナーで、同モデルハウスの設計コンセプトなどを解説した伊礼智さんは、・・・・
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