『新建ハウジング』11月30日号
築50年の賃貸長屋を再生 性能向上リノベで家賃倍に
断熱改修を得意とする長野市のReborn(リボーン)は、このほど同市内にある築50年の木造平屋建ての賃貸長屋(2戸)をフルリノベーションし、UA値0.36W/m2Kの断熱性能を備える高性能賃貸住宅に生まれ変わらせた。家賃を月額4万円台まで下げても、「ペット可」にしても長らく借り手がつかなかった長屋に、性能向上リノベによって快適性や省エネ性など付加価値を持たせることで、同8万5000円での貸し出しを始めた。
工務店が力を発揮できる 「三方よし」の有望市場
同社の塩原真貴さんは、オーナー(賃貸住宅の所有者)の悩みを解決しながら、既存ストックを生かして地域の人たちに良質な住環境を供給 し、工務店にとっては高度な技術力を発揮できる新たな仕事になり得る「三方よし」の事業として、今回の案件をモデルケースに市場を開拓していきたい考えだ。
大工により在来(軸組み)工法で建てられた同長屋は、それぞれ延べ床面積約50m2のA・B2戸の屋根がつながる連棟型。壁は土壁で断熱材は入っておらず、基礎は無筋コンクリートで、特にセメント瓦の屋根の傷みが激しく「製品寿命が尽きる直前という感じだった」(塩原さん)。一級建築士で木造住宅耐震診断士や既存住宅状況調査技術者などの資格を持つ塩原さんが耐震診断やインスペクションを行ったところ、耐震性の評点は「倒壊する可能性が高い」0.28で、断熱性能はUA値3.51だっ た。
長期優良リフォームの補助活用
リボーンでは今回の賃貸長屋のリノベを行うのに当たり、オーナーに対し「長期優良住宅化リフォーム」の補助活用を提案。総工費1830万円(税込み)のうち、1戸につき100万円(補助上限)、計200万円を補助金で賄った。リノベでは、堅固な地盤と、しっかりとつくられていて腐朽もなかった構造躯体を生かして金物や筋交いで補強しながら、必要な箇所に耐力壁を設けて耐震性を確保し、評点1.7を超えるレベルに。断熱改修は、既存の土壁の外側に付加断熱する形で行い、UA値0.36にまで引き上げた。
リノベ後の間取りはA棟が2DKで、B棟が1LDK。「子育て世帯や単身者、リタイア後の夫婦など幅広い利用を見込みつつ、メインターゲットとしては30代前半の夫婦と子ども1人の家族を想定している」(塩原さん)。両棟とも、ライフスタイルの変化や子どもの成長にあわせて間取りを可変できるつくりにした。11月9・10日に、地域のアパート経営者など不動産オーナー・事業者らも対象にしながら、完成見学会を行ったところ、さっそく1戸の入居が決まった。
リボーンがリノベーションにより生まれ変わらせた長屋は、・・・・
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