新建ハウジングプラスワン2011年10月号では「住宅ネットワーク2011」と題し、住宅ネットワークの現状とこれからを追いました。基本は、住宅ネットワーク本部にアンケートを依頼しその回答を編集部で編集したもので構成しています。ここではこの特集の巻頭言を掲載していきますが、以下はその3回目です。1回目はこちらから、2回目はこちらからご覧下さい。
3 ソフト提案とハード提案
ソフト重視傾向
今回のアンケートでは最新(いちおしの)住宅商品を聞いたがそれを見ると、「暮らしの楽しさ」や「家族のつながり」といったソフト面を重視した「ライフスタイル・家族志向」型商品が増えた。
このこと自体は正しく、また特に若年層の価値観変化に寄り添うものだ。
「確かさ」を伝える
ただし、3・11以降、生活者が住宅会社/住宅を絞り込む際の「最初の」キーワードは「安全・安心・信頼・共感・応援」になっているように見える。
特に安全・安心・信頼—一言で言えば「確かさ」を感じられない会社や住宅は選択肢から外される傾向がある。
共感・応援はそのハードルをクリアした後のキーワードであることを理解する必要があるだろう。
まずは企業としての、住宅としての「確かさ」を前面に出し、その後にライフスタイルの実現や家族の器としての提案に対する共感、人や企業、哲学などに対する応援を得る—という順序が大事ということだ。
具体的には、中小企業に対して生活者が感じる経営面の不安や技術力への不信を情報開示やブランド力で打ち消すことが基本で、そこはネットワークの出番だ。メディア露出や共同広告などを積極的に行うことは、その点からも有効だと言える。逆に工務店としては、ネットワークの信用力・ブランド力を最大限活用したい。
住宅商品についても、耐震性・省エネ性など3・11以降関心が高まっている性能面や品質面の「確かさ」、そして施工面の「確かさ」をきちんと伝え、そのうえで暮らしの楽しさや家族のつながりをアピールすべきだろう。
「ハードでは差別化できない」と言われて久しいが、もう一度「ハードに戻る」ということだ。
ハウスメーカーも同じ戦略を進めており、「確かさ」の上に差別化を積み重ねる必要がある。
その4につづく。
その1はこちらから、その2はこちらから。
※住宅ネットワーク本部へのアンケート結果は新建ハウジングプラスワン2011年10月号に掲載しています。読者以外の方で内容をご覧になりたい方は[試読制度]をご活用ください。
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