国のエネルギー基本計画による 2020年までに新築注文住宅の半数以上でのZEH実現目標は、現状のままでは達成が難しい状況だ。ZEH基準を満たす新築注文住宅の2018年度実績は5.5万戸。同年度の新築注文住宅全体は28万戸で、ZEH率は19.6%だった。2019年度は、環境省および経済産業省のZEH支援事業等の交付決定数を踏まえると、それ以上の実績に達しない可能性が強い。
環境省によると、2019年度のZEH交付決定数は4421件で、2018年度の7100件と比較し62%にとどまっている。2019年度から公募の仕方を抽選方式にしたことで、選ばれない可能性もあったことから、積極的にZEHの営業が難しかったという声も一部ハウスメーカー等から挙がっている。
また、新規取り組みビルダーがZEH補助金を使いやすくするために、抽選方式の一般公募とは別枠で、抽選のない特別枠が設けられたが、特別枠でのZEH交付決定数は228件。予算は約1000件分とっていたが、達成率は2割強にとどまった。2020年度は、新規取り組みビルダー枠を継続するかは未定という。
一方、経済産業省の事業は順調だ。より高度なZEH供給を支援する「ZEH+(プラス)実証事業」の2019年度の交付決定数は1667件と、2018年度の1956件と比較すると、15%減だが、2019年度から始まった災害対策を要件に盛り込んだ「ZEH+R強化事業」の交付決定数は1257件で、合計で2019年度は2018年度より968件増加している。
ZEHの推進は、国交省も含め、3省連携で進められているが、2020年度目標を達成するには、事業の見直しが必要だ。
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